2017 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者、視覚障害者に配慮した質的節電照明手法に関する研究
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26289208
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
岩田 三千子 摂南大学, 理工学部, 教授 (70288968)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 芳樹 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 教授 (30189071)
田中 直人 島根大学, 総合理工学研究科, 特任教授 (60248169)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 光環境 / 輝度 / ロービジョン / 高齢者 / 弱視者 / コントラスト / ユニバーサルデザイン / バリアフリー |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度は、日本建築学会環境系論文集に査読付き論文が3報掲載された。これら論文のテーマは「無彩色背景における有彩色と無彩色ラインの弱視者の視認性」「弱視者に配慮した低照度環境における階段下降時の踏面端部ラインの明視条件の検討」「晴眼者を対象とした円形視標の視認閾値に関する基礎的検討-弱視者を想定した輝度コントラスト評価図を用いた視認性推定法に関する研究(その1)」である。 また、2016年度末に実施した若年者低視力者と弱視者の、移動空間における障害物の検出の際の環境要素と明視条件を把握することを目的とする基礎的実験の結果を分析して、日本福祉のまちづくり学会で「輝度画像を用いた晴眼者低視力者の視認性評価その2.様々な輝度コントラストの円形視標を用いた見やすさ評価」を発表して第20回全国大会大会優秀賞を受賞した。 その他、福祉のまちづくり学会では学校教育の場における「指文字の見やすさの検討-教室内の視環境を想定して」、照明学会では「輝度コントラストによる視認性の検討-その3、その4」などを発表した。 さらに日本建築学会では、「ユニバーサル社会を支える環境技術-多彩な利用者の安全快適な環境デザインをめざして」と題する技術設計競技を企画・運営し、これを受けて「ユニバーサル社会を支える環境技術-技術部門設計競技の応募作から見えてきた未来」と題する研究懇談会を企画・運営して、研究代表者は「光環境について-高齢者と弱視者視認性」、共同研究者は「建築分野におけるユニバーサルデザインの試み-五感を活用した実証的デザイン研究」について講演を行った。 いずれも、バリアフリーデザインやユニバーサルデザインの実現において重要な課題である環境工学的視点からのデータを明示した。これらの実績は科研費による実績そのものであり、社会的貢献度合いともに多大な成果が得たと確信している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2017年度は、国内の学会や国際会議に多く参加するとともに、弱視者や高齢者の視認性に関する情報収集を行った。さらに、先の「研究実績の概要」でも述べたとおり、日本建築学会環境系論文集に査読付き論文が3報掲載され、弱視者や高齢者の視認性に関する信頼できるデータを公表することができた。 しかし2017年度は、節電を想定した暗い環境下(薄明視)での照明デザインの最新海外事例調査ができなかったので、来年度には約2年ぶりの海外調査をする予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度は、前年度に実施した実験データについて、照明学会大会、建築学会大会などで口頭発表を行うとともに、2017年度末に弱視者を対象として得た実験データを精細に分析し、査読付き論文として投稿をめざす。 また、2017年度は節電を想定した暗い環境下(薄明視)での照明デザインの最新海外事例調査ができなかったので、2018年度には国内外で調査をして、これまでに得られた実験室データの検証とその応用の手法を確立することに尽力し、様々な場面への照明環境デザインの提案に結び付けて、最終年度の総仕上げをしたい考えている。
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Causes of Carryover |
前年度には、弱視者を対象とした実験研究を行ったが、その企画と実施について多くの時間を割いたことや、学内的な研究倫理審査の書類作成などの手続きに手間取って、審査の時期がずれてしまった。これらによって実験研究の時間が延び、平行して行うべき海外調査や国際会議での発表が十分に行えず、その渡航費用などを次年度に回すことになった。 今年度は、最終年度であるので、国内に問わず海外での研究成果の公表に努めるとともに、調査にも赴いて、最終目標である照明デザインの提案に繋げるつもりである。
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Research Products
(12 results)