2017 Fiscal Year Annual Research Report
Study on the dissolution system of condominium ownership
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26289211
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
小林 秀樹 千葉大学, 大学院工学研究院, 教授 (20344963)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斉藤 広子 横浜市立大学, 国際総合科学部(八景キャンパス), 教授 (10257529)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | マンション / 解消制度 / 被災マンション / 老朽マンション / 敷地売却 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、当初計画の最終年度であり、多数決によるマンション解消制度の検討とその評価を行うことで最終提案を行うことを目的としている。この目的のうち、建物が老朽したマンションの解消制度について原案を検討・作成し、8月~10月にかけて専門家を対象としたヒアリング調査を実施した。専門家として、日本マンション学会の代議員及び会員、管理会社、国の政策担当者に対して実施した。 そこでの主要な指摘は、多数決による解消決議を認める客観的要件として50年間という築年数を定めていることへの疑問、団地型において敷地の一部売却が困難であることへの配慮、老朽度の判定基準が市場価値に影響することへの懸念、管理組合が崩壊している管理不全マンションの解決は多数決では実現できないこと、建物解体ではなくリノベーションによる解消制度の必要性等であった。これら指摘を受けてさらに検討を進め、マンションの解消制度について単棟型と団地型の2パターンを提案し、さらに管理不全マンションについては行政代執行を含む改良制度を別途検討し成案を得た。 一方、被災マンションの解消制度については、熊本地震で多数発生した被災マンションの復旧過程を本年度9月に調査した結果、東日本大震災では想定しなかった問題が顕在化していることが判明した。具体的には、家具処分への合意取得の問題、鉄骨造マンションの被害判定の問題、建替え等円滑化法の適用の適否、杭被害の復旧問題等が明らかとなった。これらマンションの解体と敷地売却は、本年度末から来年度にかけて行われるため、研究期間を延長し、被災マンションの解消実態の調査結果を踏まえて解消制度を提案すべきとの結論に至った。 以上を踏まえて、研究期間の1年延長を申請し、平成30年度に被災マンションの解消過程の調査、及びマンション解消制度の最終提案を行うこととした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
老朽マンションに関する研究は順調に進んでおり、これまでの調査結果を踏まえて解消制度の成案をえるなど当初の計画通り進捗した。一方、被災マンションの解消制度については、熊本地震の発生とその被災マンションの復旧過程の調査を通じて、予期していなかった新たな課題が判明した。追加調査が必要になったため1年間の延長を申請した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度末から来年度にかけて、熊本地震の被災マンションにおいて建物解体と敷地売却が進む予定である。その解消過程に日本マンション学会九州支部メンバーが関わっており、調査協力が得られる見込みである。平成30年度に実態調査の結果を踏まえて、マンション解消制度の最終提案を行う。
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Causes of Carryover |
2016年4月に発生した熊本地震において、マンションに被害が発生したとの情報があり、同年9月に現地調査を行った。その結果、6マンションにおいて被害程度が大きいことが分かった。ただし、この段階では、東北大震災(仙台)における被災マンションと類似の状況と予想しており、熊本被災マンションの解消制度の検討について、東北大震災における成果を援用し、当初の予定通り2017年9月に解消制度の提案検証を行う予定であった。 しかし、2017年度になり、熊本被災マンションでは建物解体の公費申請に向けた検討が本格化した。とくに、2017年10月が公費申請の締め切りであり、それを目指して各被災マンションで解体に向けた合意形成が進められた。その結果、同年7~8月頃から、仙台の状況と異なっているという情報が入るようになり、9月に現地調査を行った。 その結果、東日本大震災との違いが判明し、被災マンション解消制度の提案検証について、老朽マンションと被災マンションを切り分けて行うことに変更し、1年間の研究期間を延長することとした。 来年度は、日本マンション学会九州支部メンバーの協力により建物解体過程の調査を計画しており、その費用を計上する。その調査結果を踏まえて最終提案を行い、報告書のとりまとめ及び印刷を行う計画とする。
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Research Products
(6 results)