2015 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジア諸国の建築生産システムの実態および現代化プロセスに関する研究
Project/Area Number |
26289216
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
蟹澤 宏剛 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (00337685)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
権藤 智之 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 准教授 (50608396)
志手 一哉 芝浦工業大学, 工学部, 准教授 (60505353)
清水 郁郎 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (70424918)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 東南アジア / 建築生産 / 生産システム / 技能 / 外国人労働者 / 技能承継 / シンガポール / タイ |
Outline of Annual Research Achievements |
2015年度は、シンガポールタイ王国を主に調査し、予備調査としてインドネシアを訪問した。シンガポールは、建設技能者を100%外国人に依存しているが、その実態は従来ほとんど明らかでなかった。我々は、2015年度の調査で、日本のみならず、おそらくは、研究者としては初めて、ゲートによって監理されたドミトリーと呼ばれる外国人宿泊施設に立ち入って調査をするなどした。シンガポールの現行制度の多くは日本をベンチマークしたとされるが、現在までに、生産性向上や環境負荷低減のための具体的評価指標を導入し、そのスコアにより外国人受入数や賦課額、建築確認等においてインセンティブを設け、中長期的な視点で外国人受入数を削減していくなど制度が緻密に設計されていること、一方、現場の声としては、スコア向上が目的化して生産性向上を阻害している矛盾、外国人労働者に対する人権的配慮等の問題がありそうなことを明らかにし、複数件の学会発表を行う予定である。 タイ王国は、東南アジアにおいては、シンガポールに次ぐ成長国であるが、これまで調査したベトナム、ラオスと比較して現場は確実に進化しており、合理化構法など次のステップに移行しつつあること、および、現場には外国人労働者が増え、技能の承継に問題が生じつつあることを明らかにし、学会発表等により公表する予定である。 インドネシアは、予備調査段階であるが、少なくとも日本の元請の現場においては、世界で唯一日本式の型枠技術が用いられていることを掴んでいる。これは、技能の承継や東南アジア圏に於ける日本企業の展開に対する重要な知見である可能性があることを確信している。2016年度に詳しい調査を行い、実態把握の精度を高める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、東南アジアの建築生産システムについて主に技能の観点から実態を明らかにすることを目的としたものであるが、之まで、ベトナム、シンガポール、タイ、ラオス、インドネシアについて調査を行った。ただし、インドネシアは予備調査段階であり今年度に本調査の予定である。 当初、毎年2カ国ずつ実態解明を行う予定であったが、調査は実現場において行うこと、日本のみならず韓国企業や現地企業の現場も比較対象として調査すること等の条件を満たすには、予想以上に調査準備に手間暇を要し、また、調査を行う度に、予想以上に新たな発見があることから1国に要する時間が大きくなり、国数は予定を下回っている。 ただし、得られた成果は十分であることから、進捗は概ね順調と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度の本年は、研究の目的を達成するためにインドネシア、ラオス、ミャンマーの調査を行う予定である。 主たる調査のターゲットは、インドネシアは、日本式技術の浸透状況の詳細、ラオスは、北部地域の建築の「現代化」の状況、ミャンマーは、現状の(鎖国状態から解放されたばかりの旧来の)の生産システムの記録である。ただし、政治や治安の状況によっては、調査計画を変更せざるを得ない場合がある。その際には、フィリピン、マレーシア等の国にて調査を行う可能性がある。
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Causes of Carryover |
2016年3月のタイ王国の調査において、経費が当初予算を超過(軽微)したため、研究協力者の旅費精算を2017年度におこなうこととしたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実施済みの研究協力者の旅費として適正に使用する。
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Research Products
(6 results)