2015 Fiscal Year Annual Research Report
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26289217
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
小松 幸夫 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (10133092)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堤 洋樹 前橋工科大学, 工学部, 准教授 (00329088)
鈴木 敏彦 工学院大学, 公私立大学の部局等, 教授 (60316453)
李 祥準 関東学院大学, 公私立大学の部局等, 講師 (80546250)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 公共施設 / 公立学校施設 / 施設再配置 |
Outline of Annual Research Achievements |
鎌倉市の実在の小学校を対象として、公共施設機能を統合する再構成案を作成、検討した。様々なアイデアが浮かび、実現の可能も十分あることが確認できた。また作成した設計案を学校関係者にプレゼンテーションする機会を設けて意見を聞いたが、特段の拒否反応は見られなかった。従来から「学校関係者には学校を聖域視する考え方が強く、安全確保等の理由で部外者の立ち入りを好まない」などと一部では言われていたが、そのようなことは感じられなかった。 また市民の公共施設に対する意識を調査するため、鎌倉市と天理市においてアンケート調査を実施した。配布数はそれぞれ三千通強、回答率は○○~○○%であった。内容は具体的な公共施設の利用状況、避難施設としてみた場合の学校施設の問題点、学校の統廃合一般に関する意識等である。結果として、市役所や支所については住民票や印鑑証明の取得が多い、図書館の利用が多いことがあるが、それ以外の施設についてはあまり利用されていないことが明らかになった。また鎌倉と天理では利用傾向が異なり、施設数が比較的少ない天理では全般に利用割合が低いという結果になった。すなわち利便性がよくないと利用もされにくいという関係があると考えられる。 また自治体との共同研究については研究分担者がそれぞれに継続的に行っている。前橋工科大学では会津若松市小学校をテーマとした市主催の市民ワークショップを開催した。また長野市において小中学校を中心とした公共施設の再整備案を提示している。早稲田大学では天理市および奈良県との共同研究を進めているが、天理市では改築予定の中学校を対象に改修による再生の可能性についての検討を始めている。奈良県については特に町村部における施設の問題を検討している。関東学院大学では町田市との共同研究を通して、公共施設再編プロセスの検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2015年度はモデル地区を選定して実際の学校施設を想定してモデルプランのアイデアを検討したほか、対象地区の住民に対して周辺公共施設の利用状況および学校の統廃合など施設の改変についての考え方などをアンケートによって調査した。調査結果からは、大きな施設を一カ所に作るよりも住民の身近な場所に機能を複合化した小規模な施設を分散配置する方が公共サービスの形としては望ましいと考えられるので、学校に公共施設を集約するという考え方の合理性がある程度まで裏付けられたと判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度では、複数の学校についてより具体的な改修案を作成し、関係者からの評価や意見聴取を計画している。また改築もしくは改修を予定している中学校をモデルとして、想定される改修案を作成し、その実現性を構造、施工などの実務者の協力を得て検討する予定である。その結果を建替える場合と比較し、主に費用および効用の面でのメリットとデメリットを検討する。 また財政状況や人口構成の変化があり、制度の面ではマイナンバー制が導入されるなど、今後の行政サービスについては大きな変化を生じる可能性がある。公共施設のあり方は、当然ながら公共サービスの動向に大きく影響される。そこで行政の担当者に対して今後の公共サービスのあり方についての意見聴取を行う必要性を感じているため、これまで行ってきたアンケート調査を補完するようなアンケートを計画している。
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Causes of Carryover |
まず当初予定していた2地域でのワークショップの計画が変更・延期になり、ワークショップの準備・当日の進行等に充当するはずの出張費と謝金が減額となったことがある。また建築構造や施工の専門家に依頼している業務が年度を超えて行われているため、当初の支払い予定が遅れていることと、最終年度には計画していなかった追加のアンケート調査費用を考慮していることによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2016年度は変更・延期になった分を含めて複数の自治体でワークショップや現地における調査研究を実施する予定でり、そのための出張費と謝金が当初計画よりも増加するので繰越金を充当する。また専門家への謝金支払いやアンケート調査の費用にも充当する予定である。
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