2016 Fiscal Year Annual Research Report
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26289221
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
谷川 竜一 金沢大学, 新学術創成研究機構, 助教 (10396913)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川喜田 敦子 中央大学, 文学部, 教授 (80396837)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 北朝鮮 / 都市基盤 / 戦災復興 / 社会主義建築 / 植民地建築 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年度は、日本植民地時代の平壌の情報を収集するとともに、1950年代、60年代の住景観や、平壌の都市計画者・建築家に関する研究を進めた。特にロシアにおける資料を収集できたことで、北朝鮮の脱植民地期の建築家の実態解明に向け着実に前進できたと考えられる。また、日本植民地時代以降に北朝鮮地域は工業化・都市化するが、それを支えた電源開発の歴史を辿った。それにより、アメリカの開発技術が日本経由で北朝鮮へと入ることを、技術者たちの繋がりなどから明らかにできた。まさしく20世紀北朝鮮地域の建築・都市・都市基盤に関する包括的な研究を進めることができた。今年度得られた資料は、これまで未公開であったり、国内外の研究者に知られていなかったものが多い。また、北朝鮮の建築・都市通史だけでなく、日本の高度経済成長やアジアとの関係にも結びつくような可能性の大きな資料となった。 こうしたことをもとに、本年度内に代表者による論文を2本執筆し(うち1本は査読付)、学会・研究会発表も3回行うことができた。 研究分担者との会合も密におこなうことができており、北朝鮮からの引き揚げ者らの情報を共同で収集するとともに、それを冷戦などのグローバルな観点から考察することで、敗戦・光復といった朝鮮半島の移行期の建築・都市的状況に対する知見とその歴史的理解も深めることができた。 なお、同時代のアジアにおける建築・都市状況に関しては、主に韓国、中国、トルコ、モンゴル、インド、スリランカ、インドネシア、カンボジアなどの建築研究者とともに私が中心になって研究会合をもち、互いに意見交換することもできた。20世紀のアジア建築・都市史全体のなかに本科研の成果を位置づける為にも、有意義であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は資料の発見・発掘が相次ぎ、それらのまとめや整理に時間を費やしたが、成果のまとめに関しては当初の計画通りのスピードで進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度より研究期間後半に入るので、成果のまとめをより意識しながら、分担者やこれまで培ったネットワークを活かして研究の幅を拡げていきたいと考えている。具体的には、1960年代から1980年代の北朝鮮の公共建築を対象に研究を掘り下げるとともに、成果全体のまとめに向けた会合を準備していきたい。 また、都市基盤に関しては1930年代以降の電源開発なども重要となるので、それらが都市構造や建築そのものをどのように変えたのかという視点から、植民地時代の北朝鮮の都市・建築に関してもまとめていきたい。
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Causes of Carryover |
2015年度において研究環境の変化があり、2015年度と16年度の研究計画を若干変更した。具体的にはその余波が今年度も若干続いたことや分担者や連携研究者の環境にも変化があったため、物品の購入や海外調査の計画と資料分析期間を臨機応変に入れ替えて対応した。しかし資金の使用計画が本来の使用時期よりも半年ほどずれただけであり、全体計画としては全く問題はなく、成果・内容とも順調である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
夏及び秋に海外調査を計画している。また、期待以上に収集を行うことのできたロシア語の資料読解・分析などに翻訳代などとして用いる予定である。
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Research Products
(5 results)