2014 Fiscal Year Annual Research Report
元素選択的構造解析法の融合による複雑な固体電解質における成分イオンの役割解明
Project/Area Number |
26289228
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
早稲田 嘉夫 東北大学, 多元物質科学研究所, 名誉教授 (00006058)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉山 和正 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (40196762)
有馬 寛 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (60535665)
柴田 浩幸 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (50250824)
助永 壮平 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (20432859)
鈴木 茂 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (40143028)
篠田 弘造 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (10311549)
藤枝 俊 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (60551893)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 原子・電子構造評価 / 元素選択構造評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
菱面体晶のNASICON(NAtrium Super Ionic CONductor)型リン酸化合物は、Liイオン伝導経路におけるボトルネックサイズが大きいために優れた充放電特性および高いイオン伝導率を示すことが明らかになり、Liイオン電池の正極や固体電解質への応用に期待が集まっている。本研究の目的は、それらを構成する特定元素の中距離構造および配位構造を複数の元素選択的構造解析法を駆使して解明することにある。本年度は、正極への応用が期待される菱面体晶のNASICON型Li3V2(PO4)3(LVP)および固体電解質への応用が期待される同構造のLi(Ge,Ti)2(PO4)3(LGTP)の作製に取り組んだ。菱面体晶のLVPは準安定相であり、単に原料を焼成しただけでは得ること困難であるが、Na2Co3、V2O5およびNH4H2PO4を原料として熱的に安定な菱面体晶のNa3V2(PO4)3を焼成合成し、それをLiNO3水溶液に浸漬してNaを水溶液中のLiとイオン交換することにより、ほぼLVP単相の試料を得た。さらに、それを正極としたLiイオン電池において120 mAh/g程度の初充電容量を達成した。また、Li2Co3、TiO2、GeO2およびNH4H2(PO4)3を白金坩堝で溶融した後、急冷凝固して得たガラスに熱処理を施すことによりほぼLGTP単相のガラスセラミック試料の作製にも成功した。交流インピーダンス法で評価した結果、Ti濃度の増加に伴いLGTPのガラス試料およびガラスセラミック試料の伝導率が大きく上昇することが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度作製に成功した菱面体晶のNASICON型Li3V2(PO4)3は、リチウムイオン電池用の正極への応用が期待されている。また、同構造のLi(Ge,Ti)2(PO4)3は固体電解質への応用が期待されている。つまり、同構造で異なる特性を示す材料の作製に成功した。今後、それらの構造を元素選択的構造解析法により調べて比較することにより、本研究の大きな進展が期待出来る。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度作製した菱面体晶のNASICON型Li3V2(PO4)3およびLi(Ge,Ti)2(PO4)3において、X線吸収分光測定およびNMR測定により元素選択的構造解を行う。電気化学特性の評価結果と対応づけて検討することにより、それらの中のVやTiの役割について議論する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に遂行したことに伴い発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度の請求額と合わせて、平成27年度の研究遂行に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)