2014 Fiscal Year Annual Research Report
バルクナノへテロ構造を有する酸化物熱電変換材料の開発
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26289242
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大瀧 倫卓 九州大学, 総合理工学研究科(研究院), 教授 (50223847)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 酸化亜鉛 / 複合ドープ / 微細構造 / 異方性 / 熱電変換材料 / 熱伝導率 / 熱サイクル / フォノン散乱 |
Outline of Annual Research Achievements |
GaまたはCuとAlを複合ドープしたZnOを合成し、微細構造と熱電特性の関係を詳細に検討した。Al2%、Al2%Ga2%ドープ試料について、大気雰囲気下にて導電率σおよびゼーベック係数Sの100から1000℃までのサイクル測定を行った結果、初回昇温時にσは低下、S の絶対値は増大したが、その後の熱サイクルではσとS の変動は見られず、初回1000℃までの昇温で定常状態に達することがわかった。初回1000℃までの昇温により試料中の酸素欠損が減少し、電子濃度が低下したためと考えられる。一方、熱伝導率κについては、1000℃までの熱サイクルによって増大が認められ、この傾向はAl2%Ga2%ドープ試料で顕著であった。高分解能SEMによる微細構造観察から、Al2%Ga2% ドープ試料中には、第二相由来の異方性の高い平板状の構造が多数生成していることを見出した。AlとGaの複合ドープによって熱拡散率が60%以上も低減されるのは、これが原因と考えられる。1000℃以上の高温で第二相が消失していくと同時に試料が粒成長し、試料内部のこの微細な異方性構造が減少するため、他の試料に比べて熱拡散率が大きく増大するのではないかと考えられる。上限温度900℃までのサイクル熱処理では、熱拡散率の増大はほぼ見られず、900℃までの温度条件では、電気的、熱的性能ともに安定であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度に予定していた研究計画のうち、複合ドープしたZnOの微細構造と熱電特性については、ほぼ当初の予定どおり進行・達成されているが、結晶構造解析とフォノンの散乱機構については、若干の遅れが見られる。研究室が平成26年5月に研究室が別の建物に全面移転した影響もあり、第2年度には遅れは解消に向かうと予想される。
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Strategy for Future Research Activity |
1) 金属-半導体界面や半導体-半導体界面といった種々のナノへテロ界面を有するZnO試料を、ZnOへの金属・半導体ナノ粒子の添加によって合成し、ナノへテロ界面の影響を検討する。ヘテロ界面の制御として、バンドギャップやフェルミエネルギーの異なるナノ粒子を種々検討する。 2)研究経費の削減により、平成27年度に予定していた定常比較法による熱伝導率測定装置および低温ゼーベック係数測定装置の製作は不可能になったため、フォノン散乱因子とエネルギーフィルタリング効果の測定は断念する。 3)ナノヘテロ構造における母相との界面構造の詳細について、高分解能透過型電子顕微鏡観察などを行い、フォノ ンと電子の選択的散乱機構に関する情報を得る。理論的には、フォノン散乱強度については音響的なコントラス ト、電子散乱強度については静電ポテンシャルの差が効いてくると考えられ、界面構造のサイズやポテンシャル 障壁高さに対する散乱強度の依存性が半定量的に求められると考えられる。
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Causes of Carryover |
物品費に若干の残額が出た。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
試薬など実験用消耗品の購入に使用する。
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Research Products
(12 results)