2015 Fiscal Year Annual Research Report
超高記録密度磁気ディスク用極薄保護膜/潤滑膜の表面・界面化学構造に関する研究
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26289250
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
柳沢 雅広 早稲田大学, ナノ・ライフ創新研究機構, 客員上級研究員 (20421224)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ナノトライボロジー / 磁気ディスク / ラマン分光法 / 表面増強ラマン散乱 / プラズモニクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は1 平方インチあたり4テラビット以上の超高記録密度を実現する次世代磁気ディス クに用いられる膜厚 1nm 以下の極薄潤滑膜/保護膜の化学構造を測定する手法を開発し、膜およ び界面の解析を行うことにより、耐摩耗・耐食性の材料設計指針を提示することを目的とする。提 案する技術は、超高感度センサにより、深さ分解能 0.1nm で極薄膜および界面の化学構造分布を表 面増強ラマン散乱スペクトルにより測定する。また静的構造解析に加えて摺動における摩擦・摩耗の 状態をサブナノメートルレベルで動的な変化を観察して、潤滑膜や保護膜(ダイヤモンドライクカー ボン)の膜内や界面の構造変化を解析し、耐摩耗構造の指針を提示する。今年度は埋め込み型耐摩耗センサの試作を行った。またプラズモンセンサを搭載する磁気ディスクの摺動試験機を試作し、摺動中のラマンスペクトルと摺動中の温度および摩擦力の同時測定を実証した。摺動中の温度はダイヤモンドライクカーボン保護膜のラマンスペクトルのGバンドピーク強度および摩擦力の大きさと対極関係にあることが分かった。これはセンサが摺動中に跳躍し、固体接触の低減による摩擦力の減少とプラズモン電界の減少にともなって温度の低下がもたらされたものと考えられる。埋め込み型耐摩耗センサは、石英基板上にTIO膜を下地にしてコーティングしたゾルゲルSiO2膜にSi針を押し込み、電気めっきによりAuまたはAu-Agを孔内部に析出させて作製した。本センサはCu表面の酸化膜のラマンスペクトルを測定できるほどの感度を有していることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、磁気ディスクの摺動における摩擦力とラマンスペクトルを同時に測定するツールを開発し、併せてプラズモンセンサの開発を行うことにより当初の研究の目標を達成する環境が整った。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、開発した測定装置を用いて、摩擦・摩耗・潤滑の動的変化と化学的変化を同時に測定することにより、磁気ディスクにおけるダイヤモンドライクカーボン膜や潤滑膜の信頼性や材料設計を行う。
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