2014 Fiscal Year Annual Research Report
硫黄被毒したナノ粒子の水素吸放出特性のがん検知への応用
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26289255
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
八木 伸也 名古屋大学, エコトピア科学研究所, 教授 (20284226)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 朋子 名古屋大学, エコトピア科学研究所, 准教授 (90283415)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 金ナノ粒子 / 硫黄分子吸着 / XAFS測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、腸内がん患部から発生しているメチルメルカプタン(CH3SH)を効率よく捕集するために、白金族ナノ粒子を応用して非侵襲的な大腸がんスクリーニング法の開発研究を行うことを目的としている。また、水素吸蔵材料の表面が硫黄被毒した際には、その水素吸放出能が著しく減少する実験的事実を元に、ナノ粒子表面に吸着したメチルメルカプタン分子によって硫黄被毒した金属ナノ粒子の水素吸放出反応を詳細に調べることで、硫黄を含む分子の吸着量を精度よく分析できる手法の確立も目指す。 平成26年度においては、まず清浄表面を有し、かつ大量にナノ粒子の作製が可能な手法である液中プラズマ法を用いて、金ナノ粒子の形成メカニズムについて解明する部分から始めたが、思いのほかメカニズムの解釈が難しく、なかりの研究時間を要してしまった。しかしながら、金電極の陽極と陰極の表面状態、更には交流電圧の波形、またその周波数に依存して金ナノ粒子の形成が大きく左右するという結果を得るに至った。また、この金ナノ粒子表面に硫黄原子を含むアミノ酸であるL-システイン分子の吸着を実施し、分子吸着構造やその吸着種についての知見を得た。分析は、シンクロトロン放射光リングより放出された軟X線領域のX線を用い、試料のX線吸収微細構造スペクトル(XAFS)を解析することで実施した。試料については、水環境下で実施し、非常に希薄な濃度の試料系であったが、シリコンドリフト検出器(SDD:放射光施設の検出器を借用)の活用によって効率よく測定を終了することが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
液中プラズマ法によるナノ粒子の作製において、その作製パラメータの最適化は予想以上に進展していると判断した。また、硫黄原子を含む分子が吸着した試料に対するXAFS測定についても進めることができ、この点の進展が大きかったと考えている。しかしながら、最終的なRh(ロジウム)ナノ粒子への適応が出来ていない点が挙げられる。よって、これらの状況を合わせると、「概ね順調に進展」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、平成26年度に実施した金ナノ粒子からRhナノ粒子へナノ粒子作製の方向に舵を切る予定である。その後に作製パラメータを最適化し、あわせて硫黄原子を含む分子の吸着反応についてのXAFS分析を行う。また、Rhナノ粒子についての水素吸放出反応を調べることを実施する予定である。
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Research Products
(7 results)