2015 Fiscal Year Annual Research Report
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26289259
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
安田 弘行 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60294021)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 構造・機能材料 / 格子欠陥 / 転位 / 析出強化 / 耐熱合金 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、平成26年度に実施した相平衡に関するデータを基づき作製されたFe-Al-X-Y(X=Ni, Co, Y=Ti, V)系合金単結晶試料の変形挙動を静的な組織観察により解明した。具体的に対象としたのは、Ni2AlTi, Ni2AlV, Co2AlTi, Co2AlVといったL21構造の析出物を有する単結晶である。Ni2AlTi, Co2AlTiを有する単結晶では、均質化熱処理後に室温まで徐冷することで析出物が粗大化するとともに、bcc母相中の1/2<111>転位が析出物を迂回した。しかしながら、析出物に有利な<001>転位ならびに<110>転位の運動は観察されなかった。その原因は、析出物が粗大でbcc母相とのミスフィットも大きいためである。一方、Ni2AlV, Co2AlVを有する単結晶では、微細なNi2AlV, Co2AlV析出物が観察されるとともに、結晶方位に依存して、1/2<111>転位と<001>転位の活動が認められた。しかしながら、Ni2AlV, Co2AlV析出物の溶解温度は、N2AlTi, Co2AlTiのそれと比べ低いため、高温にて強度が減少した。したがって、今後は、Ti, Vの共添加による析出物の溶解温度ならびに母相とのミスフィットのチューニングが不可欠である。また、L21析出物のサイズ、分布等を定量的に評価した上で、L21析出物による強化機構を定量的に考察した。その結果、いずれの場合も析出物による応力増加は、析出物内部の摩擦力に注目した析出強化の理論式で説明できることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り4つの合金系について単結晶を作製し、その力学試験を系統的に行っている。特に、TiとV添加の影響を解明できたことで、平成28年度の目標が明確となった。
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Strategy for Future Research Activity |
結晶性材料の変形挙動の解明は、平成27年度に実施する静的な組織観察だけでは限界がある。そこで平成28年度は、光学顕微鏡、SEM-EBSD、TEMといったサイズスケールの異なるその場観察法を駆使して、変形機構を解明する。さらに、得られた知見に基づき、Fe-Al-X-Y合金の高温強度のさらなる向上を図る。具体的には、TEMにより、1/2<111>転位、<001>転位の運動挙動をCCDカメラで動的に観察し、その特徴を調査する。さらに、光学顕微鏡やSEM-EBSDのその場観察により、マクロなすべり変形挙動を調べる。上記より、変形機構を解明する。得られた知見をもとに、組成選択、熱処理、第五元素等によりL21析出物のサイズ、分布、体積率、母相とのミスフィットを変化させることで転位の運動を微視的視点で制御し、高温強度の更なる向上を目指す。特に、添加元素の原子サイズに注目し、母相/析出物のミスフィットを制御することで析出物の形態を自在に制御する。例えば、TiならびにVはその原子サイズからそれぞれミスフィットを増加ならびに減少させる効果があると考えられる。そこで、これら元素を共添加すれば、ミスフィットの値を自由自在に制御することが可能であると考えられる。これにより、特に800℃での高温強度の更なる向上を達成する。
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Research Products
(3 results)