2014 Fiscal Year Annual Research Report
電気化学アシスト顕微レーザースペックル干渉による鉄鋼の水素吸収ダイナミクスの解明
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26289268
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
多田 英司 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (40302260)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 材料加工・処理 / 電気化学プロセス / 環境強度 / 遅れ破壊 / 高張力綱 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,鉄鋼の高強度化とトレードオフにある遅れ破壊(水素脆化)耐性を劇的に向上させるべく,鉄鋼内への水素吸収を抑制する水素ブロック表面を構築する.そのため,1.水素吸収反応を電気化学的に刺激して,水素吸収により生じる鉄鋼表面のひずみ分布を,干渉法で高精度に観測する電気化学アシスト顕微レーザースペックル干渉システムを開発し,2.水素吸収誘起ひずみ分布から,水素吸収サイトと水素吸収速度を可視化することによって,水素吸収ダイナミクスにおよぼす材料組織と表面性状と関係を解明することを目的としている.また,3.得られた結果を基に,水素ブロック表面の構築指針を提案し,表面創製してその特性を実証する計画にある. 本年度では,はじめに電気化学アシスト水素吸収引抜セル部を設計,作製した.研究代表者がこれまで使用してきたDevanathan-Stachurski型の水素透過試験用電気化学セルを光学顕微鏡に設置できるように小型化した.この水素引き抜きセルを用いて,電気化学制御条件下,腐食条件下で水素透過電流測定を行い,再現性,精度良く電流測定が可能であることを示した.さらに,本年度の備品申請物品であった光学顕微鏡システム,CCDカメラを導入し,除振ステージ上に水素透過セルとともに設置できるように工夫した光学測定系を確立した.これらの測定,観察環境において腐食しつつある鉄鋼材料表面を観察できることを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度では,電気化学アシスト水素引き抜きセルと光学顕微鏡をはじめとする光学系システムの確立を目指した.その結果,水素引き抜きシステムの作製と光学系システムの確立が順調に進められた.レーザー光学系導入については予定より遅れているが,現有備品のレーザーを使った表面観察の予備実験を進めている.以上から当初の計画をほぼ進めることができており,おおむね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度では,レーザー光学系の構築を引き続き行い,作製したシステムを用いて,1.均一鉄鋼表面での水素吸収特性の評価,2.多結晶鉄薄膜について,水素吸収にともなう粒界砥粒内ひずみ分布の影響を調査する.以上より,鉄鋼材料の水素吸収ダイナミクスにおよぼす結晶粒,表面不均一性の影響を明らかにする.
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Causes of Carryover |
現在,現有のレーザー部品,ステージ駆動部品を使った予備実験を行っており,それらが適用可能性を検討中である.そのため,物品費として計上していたレーザー,ステージ駆動部品の購入費が繰り越された.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
現有物品の適用可能性を判断し,レーザー光学部品,ステージ購入費をはじめシステム構築に必要な物品の購入,加工費に充てる計画にある.
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