2014 Fiscal Year Annual Research Report
カーボンナノチューブ複合めっき法を活用した新規リチウムイオン電池負極構造の構築
Project/Area Number |
26289270
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
新井 進 信州大学, 学術研究院工学系, 教授 (20313835)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
服部 義之 信州大学, 学術研究院繊維学系, 准教授 (20456495)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | カーボンナノチューブ / 複合めっき / リチウムイオン電池 / スズ / Sn-Ag合金 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではカーボンナノチューブ(CNT)複合めっき技術を活用して、高容量で耐久性に優れるリチウムイオン電池用新規スズ系負極構造を構築することを目的としている。具体的には①Cu/CNT複合めっき技術の開発、②Cu/CNT複合めっき膜上へのスズ活物質層形成技術の開発、③構築した新規負極構造の充放電特性評価、④充放電試験による負極の構造変化の解析および⑤スズ合金の検討を行った。それぞれの検討項目の実績は以下のとおりである。 ①Cu/CNT複合めっき技術の開発については、無電解めっき法によるCu/CNT複合めっき技術の開発に加えて、電気めっき法によるCu/単層カーボンナノチューブ複合めっき技術を開発し、その成果を多くの学協会(国際会議含む)で発表した。また、無電解めっき法によるCu/CNT複合めっき膜作製に関する成果を2件論文発表した。②Cu/CNT複合めっき膜上へのスズ活物質層形成技術の開発については、置換型スズめっき法によるCu/CNT複合めっき膜上へのスズ層形成(新規負極構造の構築)を行った。無電解めっき条件によっては下地Cu/CNT複合めっき層の銅の局部的溶解が見られ、均一で連続したスズ層が形成できなかったが、条件の最適化により銅の局部的溶解のほどんど見られない連続したスズ層の形成が可能となった。本成果を学協会で発表した。③構築した新規負極構造の充放電特性評価については、ハーフセルにて新規負極構造の充放電サイクル特性を評価し、CNTを用いた本負極構造が充放電サイクル特性の向上に有効であることを明らかにした。また本成果を学協会で発表した。④ラマン分光法により、単層CNTにもリチウムイオンが挿入されることを明らかにした。⑤Sn-Ag合金めっき膜の充放電特性を評価した。本研究成果を多くの学協会(国際会議含む)で発表した。 さらに以上の成果を学会の依頼講演で2回発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多層CNTおよび単層CNTを用いたCu/CNT複合めっき技術の開発については、電気めっき法および無電解めっき法双方による複合めっき膜の作製に成功し、その成果を学会発表(国際会議含む)および論文発表(インパクトファクター2以上の国際誌に2件)で発信した。特に束状凝集体(バンドル)を形成しており一次粒子まで解砕することの困難な単層CNTをほぼ一次粒子まで解砕させた状態で銅めっき膜に複合できたことは有意義である。Cu/CNT複合めっき膜上へのスズめっき膜の形成(新規負極構造の構築)については、置換型無電解めっき法により、スズめっき層の形成を可能とした。置換スズめっきでは素地のCu/CNT複合めっき層の銅が不均一に溶解し、その上に析出するスズ層も不連続で不均一であったが、置換スズめっき温度や反応時間を最適化した結果、連続で比較的均一なスズ層の形成が可能となった。その成果を学会発表した。創製した新規スズ系負極の充放電特性評価については、ハーフセルにてサイクル試験を行い、CNTを活用した本スズ系負極構造が、CNTを用いない単なるスズ系負極と比較して明らかにサイクル特性が向上することを実証した。また、本成果を学会発表した。充放電試験による新規スズ負極の構造変化については、単層CNTにもリチウムイオンが挿入されることを確認した。さらに、スズだけでなくSn-Ag合金めっき膜の充放電特性も評価した。また、その成果を学会発表した。 以上、当初予定していた研究課題について検討し、成果を挙げることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成26年度にはCu/CNT複合めっき膜作製技術の開発および本研究で提案する新規スズ系負極構造の有効性を実証することができた。今後は、新規スズ系負極構造の銅層とスズ層の界面に存在するCNTの量や種類を変化させて、その充放電サイクル特性への影響を検討する。また、電気めっき法によるCu/CNT複合めっき膜上へのスズ層形成条件の検討を行う。特にめっき浴への平滑剤の添加効果や電流反転電解法の効果を検証する。創製したスズ系負極の充放電サイクル特性評価を行い、CNTを用いない単なるスズ系負極との充放電メカニズムの違いを、サイクリックボルタンメトリーや交流インピーダンス解析により明らかにしていく。さらに、Sn-Ag合金めっき膜やSn-Ni合金めっき膜といったスズ合金めっき膜をCu/CNT複合めっき膜上に形成した負極構造を構築し、スズめっき膜を用いた負極構造とのの比較検討を行う。加えて、充放電試験による新規スズ系負極の構造変化をSEMやXRDのみならず、ラマン分光とXPSを用いて解析する。
|
Causes of Carryover |
実験に用いる各種消耗品の使用量が予定よりも少なくて済んだため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は海外で成果発表を予定しているので、次年度使用額とH27年度請求額をあわせてその旅費等に使用する。
|
Research Products
(14 results)