2015 Fiscal Year Annual Research Report
強誘電体ナノプレートを利用した高性能ナノピラー型マルチフェロイック材料の開発
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26289275
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
小舟 正文 兵庫県立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90240960)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊池 丈幸 兵庫県立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50316048)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 結晶・組織制御 / マルチフェロイック材料 / 電気磁気効果 / 交差相関性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は強誘電性と磁性間の電気磁気効果を利用して動作する電源不要の各種(磁気、回転数、流量、位置)センサデバイスやスマートフォン等の待機電力補充用給電素子を実現するためのマルチフェロイックデバイスの開発を目的としている。本年度はマルチフェロイック複合材を作製するための強誘電体ナノプレートに関し、ナノプレート構造体及びその特性(強誘電性及び圧電性)について実用化を視野に入れて再現性の検討を行った。また、作製したナノプレートを複合材の強誘電体テンプレートに用い、有機金属化学気相堆積(MOCVD)法により、微小なナノプレート空隙への強磁性マグネタイト(Fe3O4)ナノ粒子の高密度充填を検討した。得られた研究成果は以下の通りである。 (1) 高温スパッタ法により、基板温度650℃、ガス圧0.4 Paの条件でNb:TiO2基板上に高度にa軸配向した膜厚2.3 μmの(Bi3.25Nd0.65Eu0.10)Ti3O12 (BNEuT)ナノプレート構造体を再現性よく合成することに成功した。得られたBNEuT薄膜は残留分極2Pr = 66 μC/cm2及び約24%の表面空隙率を有していた。 (2) MOCVD法により、Fe源としてiron(Ⅲ) tris(2,2,6,6-tetramethyl-3,5-heptanedionato [Fe(thd)3]を用い、基板温度400-500℃、成膜時間30-90 min、Arキャリアガス流量100 sccm及びN2Oガス流量300 sccmの条件で(200)BNEuT/(101)Nb:TiO2基板上にFe3O4薄膜を作製することに成功した。振動試料型磁力計を用いて磁気モーメント-磁場(M-H)特性を測定した結果、作製した試料は室温強磁性体であることが判明した。次年度はこのFe3O4ナノ粒子のさらなる高密度充填性をはかるため、MOCVD実験について至適条件の探索を行う予定である。また、作製したFe3O4薄膜は室温で金属並みの導電性を示すため、今後は強磁性体と電極を兼ねた形状で作製するための新規磁性電極作製プロセスの開発を行う必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、合成実験並びに物性評価が順調に推移したため、ほぼ予定していた研究成果を得ることができたと考えている。しかしながら、当初の計画に記載していた水溶液法による強誘電体ナノプレート空隙へのFe3O4強磁性体ナノ粒子の導入は、表面改質を行った後も十分とはいえず、MOCVD法の特徴である「ステップカバリッジ(段差被覆)」特性に着目して、Fe3O4導入法について「水溶液法」から「MOCVD法」に切り替えて検討を行った。その結果、現在までのところ、ナノプレート高さの約40%程度の充填を達成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度はMOCVD法によるFe3O4ナノ粒子の導入実験を加速させる。また、これと同時に磁性電極作製プロセスの開発も行う。具体的には、フォトリソグラフィ技術とMgOなどの犠牲層の応用を検討し、ナノピラー型強誘電体-強磁性体複合材を完成させる。
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Research Products
(5 results)
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[Presentation] Bi3.25Nd0.65Eu0.10Ti3O12 ナノプレートの構造および圧電性に及ぼすスパッタリングガス圧の影響2015
Author(s)
栗山知侑, 小舟正文, 釘宮拓也, 上島慧史, 風呂谷亮佑, 西岡洋, 菊池丈幸, 藤澤浩訓, 中嶋誠二, 清水勝, 福室直樹
Organizer
応用物理学会関西支部
Place of Presentation
イーグレひめじ(兵庫県・姫路市)
Year and Date
2015-06-22 – 2015-06-22
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[Presentation] (Bi3.25Nd0.65Eu0.10)Ti3O12ナノプレートの物性に及ぼすスパッタガス圧の影響2015
Author(s)
栗山知侑, 小舟正文, 釘宮拓也, 上島慧史, 風呂谷亮佑, 西岡洋, 菊池丈幸, 藤澤浩訓, 中嶋誠二, 清水勝, 福室直樹
Organizer
第32回強誘電体応用会議
Place of Presentation
コープイン京都(京都府・京都市)
Year and Date
2015-05-20 – 2015-05-23