2016 Fiscal Year Annual Research Report
トモグラフィー計測による非沈降性スラリー撹拌槽における固気複合分散相状態の解明
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26289285
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
上ノ山 周 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 教授 (50233945)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 化学工学 / プロセス / 撹拌・混合 / トモグラフィー / スラリー流体 |
Outline of Annual Research Achievements |
撹拌槽において、小型翼を用い降伏応力を有する塑性流体を撹拌するとき、翼廻りにのみ流動領域が生じ、その外側は静止したままの混合不良な状況が発生する。この流動領域は、その形状からカバーン(洞穴)と呼ばれている。 平成27年度に、撹拌槽における塑性流体の通気操作による混合効果の促進機構につき、槽内に電解質溶液を注入し、これをトレーサとして追跡する手法を用いて検討した。通気量を一定として翼回転数を変えて、槽内液をサンプリングし、槽内におけるカバーン内外の3つの部位でのトレーサ濃度の経時変化を得た。この結果を基に、数学モデルを立てることにより、通気された気泡の通過経路ならびにその量に付き、定量化を行った。これより、低回転数では、気泡は、主にカバーンの外側をそのまま通過すること、中回転数では、気泡は一旦、カバーン内の翼に捕捉され、その後、軸廻りを上昇し、これによって生じる槽縦断面における液循環流は、槽の中心側から槽壁側の向きであること、さらに高回転数になると、一旦翼に捕捉された気泡は、翼から水平方向に吐出され、これによって生じる液循環流液は、中回転数領域とは逆に、槽壁側から槽中心への向きとなることを明らかにした。 平成28年度は、同じ装置系を用い、電気抵抗方式トモグラフィー計測手法により、回転数の違いによる各水平断面での気泡含有率(ボイド率)を算定した。その結果、前年度のサンプリング手法による回転数の違いによる気泡の通過経路の相違を裏付けることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
トモグラフィー計測システムを立ち上げ、腑に落ちるデータを取得するまでに、種々の校正を試みる必要があり、時間を取られたために遅れを生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、光透過性塑性流体への通気で終了したが、平成29年度は、光不透過性スラリーへの展開や、液-液2相流における分散・混合過程への展開を試み、次の研究に繋がる成果を上げることに注力したい。
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Causes of Carryover |
平成28年度末の装置改良の発注が間に合わず、17万円弱の繰越金が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度の物品費もしくは旅費に加算して使用する。
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