2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26289286
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
大谷 吉生 金沢大学, 自然システム学系, 教授 (10152175)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東 秀憲 金沢大学, 自然システム学系, 准教授 (40294889)
瀬戸 章文 金沢大学, 自然システム学系, 教授 (40344155)
汲田 幹夫 金沢大学, 自然システム学系, 准教授 (60262557)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 化学工学 / 空気ろ過 / 粉塵負荷 |
Outline of Annual Research Achievements |
27年度は,フィルタへの大気塵堆積過程のモデル化,現行の試験粉体の適用限界,新たな試験用粉体・試験方法を提案するための研究を行った。 (1)大気塵粒子の性状とフィルタ内部の粒子堆積状態の関係:フィルタ内部の粒子堆積構造を数値化するため、堆積粒子の比抵抗を採用し、比抵抗の、粒子条件、ろ過条件、フィルタ構造への依存性について検討した。その結果、比抵抗によって、表面ろ過、内部ろ過に区別、および繊維上での粒子の堆積形状がほぼ推定できることが分かった。 (2)JIS-11種粉体を用いた,フィルタ寿命の加速試験法の妥当性:試験粒子としてJIS-11種粉体を用いて,粒子濃度を変化させて圧力損失経時変化を測定し,圧力損失がフィルタ内粒子堆積量の関数のみでして表わされる粒子濃度の範囲について検討した。その結果、このような高濃度であっても、試験粒子を十分に分散させれば、ほぼ大気塵負荷時と同様の集塵性能を掲示変化を再現できることがわかった。また,ろ過速度を変化させて圧力損失の経時変化を測定し,この場合についても,圧力損失の経時変化がろ過速度補正を行うだけで,ろ過速度の関数ではなくフィルタ内粒子堆積量のみの関数となる条件について検討した。その結果、大気塵を負荷した場合、ろ過速度20 cm/s以下では、粉塵堆積量に対して同様な圧力損失の経時変化を得られるが、50 cm/sでは圧力損失の経時変化は大きく異なることが明らかになった。 (3)JIS-11種粉体を用いたフィルタ性能試験法における,試験環境(温度,湿度など)の影響:まず、使用済みのフィルタを用いて、フィルタの捕集効率の湿度依存性について検討した。その結果、実環境で使用されたフィルタの捕集効率は湿度に大きく依存し、NaClの潮解湿度75%以上と以下で圧力損失が大きく変化することが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フィルタ内部の粒子堆積構造は、粒子の条件(粒度分布、粒子濃度、粒子形状、粒子の相)、ろ過条件(ろ過速度、湿度、温度など)、フィルタ性状(繊維径分布、充填構造)など多くの因子によって変化する。このため、これらの因子の関数として、フィルタの捕集効率、圧力損失が経時的にどのように変化するかを予測することは極めて困難である。しかし、これまでの研究により、捕集された粒子の堆積構造を数値化するパラメータとして比抵抗が有効であることがわかった。 また、フィルタ寿命加速試験の妥当性を検討した結果、大気塵を負荷した場合、ろ過速度を50cm/s以下であれば、特定のフィルタでは同様な圧力損失の経時変化が得られることが分かった。さらに、JIS11種試験用粉塵を用いた試験では、70mg/m3という高濃度であっても、試験粒子を一次粒子まで十分に分散すれば、集塵性能経時変化の濃度依存性はなく、加速試験が可能であることが分かった。 以上の成果は、PM2.5に対するフィルタの性能試験の実施、およびフィルタ寿命の予測モデルを構築する上で基礎となるもので、当初の計画を順調に達成できている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究により、フィルタ内部に堆積した粒子形状は、堆積粒子の比抵抗によって数値化できることが分かった。今後は、様々な性状の粒子、ろ過条件、フィルタ構造を持つフィルタを用いて、比抵抗と、これらろ過因子との関数関係を求める。これにより、粉塵負荷時のフィルタの集塵性能予測モデルを構築する。 さらに,JIS-11種粉体に加え,フィルタ内の粒子堆積状態を模擬できるような粒子(例えば,固体粒子と液体粒子の混合エアロゾル,燃焼によって発生させたエアロゾルなど)を用いて,粉塵負荷時のフィルター内部大気塵堆積状態の再現を試みる。この場合,必ずしも,試験粒子が大気塵を模擬している必要はなく,ろ過条件との組合せによって,大気塵の堆積状態が模擬できる試験粒子の粒度分布と濃度を決定する。そして,決定した試験粒子を用いた性能試験結果と,実環境でのフィルタ性能の相関をとることにより,フィルタ寿命推定式を提案する。実験によってフィルタ性能に影響を及ぼす主因子を抽出し,次元解析を用いて,粉塵負荷時のフィルタ性能を記述する無次元パラメータを導出し,無次元パラメータの関係式を決定することで,実用的な粉塵負荷時の性能予測式を提案する。
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Causes of Carryover |
見積もり額と実際の納入価格に差が生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
物品費に充てる。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Sieving of aerosol particles with metal screens2016
Author(s)
Kawara, N., Kumita, M., Kurachi, H., Seto, T., Kamba, S., Kondo, T., Otani, Y.
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Journal Title
Aerosol Science and Technology
Volume: 50
Pages: 100-107
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Verification of slip flow in nanofiber filter media through pressure drop measurement at low-pressure conditions2016
Author(s)
Bao, L., Seki, K., Niinuma, H., Otani, Y., Balgis, R., Ogi, T., Gradon, L., Okuyama, K.
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Journal Title
Separation and Purification Technology
Volume: 159
Pages: 100-107
Peer Reviewed
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[Journal Article] Centrifugal Filter for Aerosol Collection2015
Author(s)
Nakajima, S. Kumita, M., Matsuhashi, H., Higashi, H., Seto, T., and Otani, Y.
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Journal Title
Aerosol Science and Technology
Volume: 49
Pages: 959-965
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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