2014 Fiscal Year Annual Research Report
粉体の瞬間精密電荷制御を可能にする気相単極イオン抽出法の開発と帯電粒子の運動解析
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26289288
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松坂 修二 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10219420)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 粉体 / 粒子 / プラズマ / 帯電 / 電荷 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,プラズマジェットを自由空間につくり,環状電極によって同符号の単極イオンジェットを粒子に照射することにより,瞬時に精密電荷付与を可能にする技術を開発することを目的とする。電荷付与装置の設計・製作後,単極イオンジェットの生成条件を明らかにしたのち,粒子を投入し,帯電粒子の動的挙動を解析するとともに,粒子帯電の最適条件を選定するために必要なパラメータを定量的に解析・評価して,粒子帯電装置のシステムを構築する。一連の実験,解析,評価を3年間で行う。本年度は,実験的検討で中心となる装置の設計・製作を行い,試運転と基礎特性実験を行った。高周波信号(~10 kHz)の発生および波形制御のためにファンクションジェネレーターを用い,高電圧アンプ(~10 kV)で電気信号を増幅した。プラズマジェットの形成には,希ガス(アルゴンおよびヘリウム)を用いた。プラズマジェットから正あるいは負の単極イオンを抽出するために,外部環状電極を利用する方法,バイアス電圧(~5 kV)を印加する方法を検討した結果,後者の方が効果的であることが分かった。単極イオンの計測には,その場計測が可能な電極プローブ法を用い,エレクトロメータで空間電流分布を測定し,バイアス電圧を正あるいは負に変えることによって,正あるいは負の単極荷電を抽出できることが分かった。導電性あるいは誘電性による材料依存性を評価するために,アルミナ,フェライト,正コートフェライト,負コートフェライト,PTFEの5種類の試料粒子を用いた。試料粒子を連続供給するために,定量供給ユニットを試作した。帯電粒子の測定には,ファラデーカップを用いた。基礎特性実験によって,プラズマジェットは粒子の荷電に有効であることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は,実験的検討で中心となる装置の設計・製作を行い,試運転と基礎特性実験を行う計画である。これに対して,装置の設計・製作を完了したのち,プラズマジェットの実験パラメータである周波数,電圧,波形の影響,プラズマジェットの形状および希ガスの種類と流量の影響を計画に基づいて,実験,解析,評価を行った。また,プラズマジェットによる粒子の荷電を行い,比電荷の測定を行うことができた。したがって,計画どおり順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度に制作した装置を用いて粒子帯電性能実験を行い,詳細なデータを取得するとともに実験結果を踏まえて帯電過程の理論検討および帯電プロセスの検討を行う。また,実用性を考慮した確証実験の準備を開始するとともに,システム構築のための基本仕様の検討に着手する。
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Causes of Carryover |
製作した装置の試運転および基礎特性実験が順調に進んだため,消耗品を削減できた。公開された学会プログラムに応じて出張日数を限定したため,出張旅費を削減できた。研究が順調に進んだため,人件費・謝金を削減できた。関連するその他の費用も削減できた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は,社会情勢の変化により,購入予定の物品費が当初の見積もりよりも高くなる見込みであり,予定どおり研究を遂行するために,これらに充当する予定である。
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Research Products
(5 results)