2014 Fiscal Year Annual Research Report
金属ナノ粒子と担体との協奏的触媒機能を生かした環境調和型分子変換システムの開発
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26289303
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
満留 敬人 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (00437360)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金田 清臣 大阪大学, 学内共同利用施設等, 教授 (90029554)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 触媒 / 金属ナノ粒子 / Green Chemistry |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は、塩基性無機担体と金ナノ粒子がその界面において水素分子を協奏的に活性化し、極性水素種を選択的に形成できることを見出した。さらに界面での協奏的触媒作用を最大化するため、金ナノ粒子を塩基性無機酸化物で包み込んだコア-シェル型金ナノ粒子触媒の開発に成功した。本触媒は、アルキンの部分水素化反応に極めて高い選択性を示し、汎用性の最も高い触媒であるリンドラー触媒(Pd/CaCO3 treated with Pb)では、高選択的にアルケンを与えることのできないアルキンに対しても有効であることを見出した。この高い触媒活性は、コア-シェル型構造をとることによって初めて発現することもわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究は、金属ナノ粒子と無機酸化物担体との界面協奏効果を発現させることで、高選択的な分子変換を行うことを目的としている。この知見を発展させ、上記の界面協奏効果を最大化させることを目指して、コア-シェル型金属ナノ粒子触媒の開発を目指していたが、協奏効果の発見と今年度行う予定であったコア-シェル型金属ナノ粒子の作製が計画以上に進展し、一部は、論文掲載の前段階まで進んでいる。 また、協奏的触媒作用からさらに概念を発展させて、コア金属とシェル金属種からなる相補的触媒作用の発現という新しい概念の着想・及びそれを実現するコア-シェル金属ナノ粒子の調製まで進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
計画通り金属ナノ粒子と担体との強壮効果の最大化を目的としたコア-シェル型金属ナノ粒子触媒の開発・触媒作用の探索を進めて行く。 上記したように一部の金属ナノ粒子ではコア-シェル型金属ナノ粒子触媒の調製・触媒作用の発現も終え、研究開始当初に目的としていたコア-シェル型金属ナノ粒子の設計による協奏効果の最大化の概念を実証することに成功している。今後は、他のコア-シェル型金属ナノ粒子触媒の合成とその触媒作用の探索、及び、より簡便なコア-シェル型金属ナノ粒子の調製、さらに新しく着想したコア-シェル型触媒設計概念の有効性の実証を行っていく。具体的には。以下の3点を行う。 1)コア-シェル型金ナノ粒子の設計 研究代表者はこれまでに、金と無機酸化物との協奏的触媒作用を見出している。これを基に、金ナノ粒子と無機酸化物のとコア-シェル型触媒を合成している。今後調製法の最適化と触媒作用を探索する。 2)コア-シェル型金属ナノ粒子触媒の一般性の高い調製法の確立 コア-シェル型金属ナノ粒子触媒は、その特異な触媒作用や耐久性の高さから次世代型材料として極めて有用である。しかしながら、コア-シェル型金属ナノ粒子は高度な設計技術を必要としてきた。よって、極めて簡便な一段階で自己集合によりコア-シェル型金属ナノ粒子を合成できる新手法の開発を行う。 3)新規概念“相補的触媒作用”の実証 相反する2種の金属を含むコア-シェル型金属ナノ粒子を作ることで、それぞれの金属のデメリットを打ち消し、メリットのみを引き出す“相補的触媒作用”の概念を実証する。 新規コア-シェル型金属ナノ粒子触媒を調製し、上記概念の実証を行う。
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Causes of Carryover |
大型分析機器を使った触媒解析(主にSPring-8での放射光を使った分析)が、次年度に多く行われることに決まったため、それに関わる測定試料の調製コストや出張費を次年度に繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
大型分析機器を使った触媒解析に関わる測定試料の調製コストやSPring-8への出張費に使用する。
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