2014 Fiscal Year Annual Research Report
ホモジニアスアッセイを自在に実現する核酸構造体センシング分子作製法の確立
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26289314
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
舟橋 久景 広島大学, サステナブル・ディベロップメント実践研究センター, 特任講師 (60552429)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ホモジニアスアッセイ / バイオセンサー / 分割核酸酵素 / DNAナノピンセット構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、申請者が開発しているDNA ナノピンセット構造体(DNA-NT)蛍光バイオセンサ作製技術を基盤にして、(重点課題1)DNA-NTへの機能ドメイン修飾技術、(重点課題2)標的を任意タンパク質分子などへ拡張する技術、(重点課題3)酵素活性としてシグナルを出力させる技術、を開発することによって、洗浄操作の必要ないホモジニアスアッセイによって任意の核酸やタンパク質を自在に検出するための核酸構造体センシング分子作製法を確立することを目的としている。 初年度は重点課題(重点課題3)を中心に研究を進めた。酵素活性としてシグナルを出力させる技術開発にあたり、ヘミン存在下でペルオキシダーゼ活性を示すDNA核酸酵素、G-quadruplex配列に着目した。従来の蛍光色素修飾箇所に、2分割したG-quadruplex配列を導入した新しいDNA-NTを作製した。このDNA-NTの酵素活性を、ペルオキシダーゼの発色基質であるABTSと過酸化水素を用いて評価したところ、標的mRNA加えた場合に420 nmの吸光度が大きく上昇し、酵素活性を示すことが明らかとなった。このことは、標的mRNAを認識したDNA-NTが構造変化を起こし、それに誘導されて離れていた分割G-quadruplex配列が近接し、ペルオキシダーゼ活性を示すG-quadruplexが再構成した結果と考察した。 以上のことから、標的mRNAを検出するとペルオキシダーゼ活性を生じる分割G-quadruplex再構成誘導型DNA-NTの開発に成功したと結論した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第一に、(重点課題3)酵素活性としてシグナルを出力させる技術開発において、標的mRNAを検出するとペルオキシダーゼ活性を生じる分割G-quadruplex再構成誘導型DNA-NTに成功したこと。 第二に、この分割G-quadruplex再構成誘導型DNA-NTは(重点課題2)の標的を任意タンパク質分子などへ拡張する技術開発に関して、標的を認識した分子のみをスクリーニングするための基盤技術としてとして応用が可能であり、H27年度以降の重点課題研究展開に目処が立ったこと。 以上の理由から本研究がおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
H27年度は以下の計画に従って、各重点課題を推進する。 (重点課題1)DNA-NT への機能ドメイン修飾技術;ビオチンを介した機能修飾法を検討する。具体例として、重点課題3とリンクした標的核酸の簡便な検出法開発を行う。また、毒素による孔隙法を用いて、生肝臓細胞内へグルコーストランスポーター1(GLUT 1) mRNA 測定用DNA-NT 蛍光バイオセンサを導入する。導入後のDNA-NT蛍光バイオセンサの局在や挙動を蛍光顕微鏡により観察し、ビオチンを介して付加したシグナルペプチドの機能の有無、是非を検討する。GLUT 1 mRNA のホモジニアスアッセイを実現し、インスリン刺激に応答する遺伝子発現のアッセイを目指したい。 (重点課題2)標的を任意タンパク質分子などへ拡張する技術;前年度に作製した分割G-quadruplex再構成誘導型DNA-NTを利用し、スクリーニング原理を確立する。この段階ではまず標的分子として、先に利用したHes1 mRNA のモデルssDNA を利用する。すなわちssDNA 添加時においてのみヘミンカラムに結合し、DNA-NT が回収されることを示す。 (重点課題3)酵素活性としてシグナルを出力させる技術;本年度は分割G-quadruplex再構成誘導型DNA-NTと重点課題1のビオチンを介した機能ドメイン修飾法を用いて、マイクロRNAやウィルスRNAの簡便な検出法を開発する。
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Causes of Carryover |
重点課題3において、H26年度は核酸酵素や4種類のタンパク質を用いて、DNA-NTに構造変化に誘導される分割酵素の再構成実現に挑戦する予定であった。しかし当初予定していたより早い段階で核酸酵素による分割酵素の再構成実現に成功した。そこでタンパク質を用いた類似の実験を推進するよりも、ルーチンワークによる基礎実験が必要な重点課題1や重点課題2を中心に研究を進めることが、当研究課題の推進に寄与すると判断した。その結果、新規に遺伝子組換え用の高価な制限酵素などを購入するよりも、すでに材料のそろっているルーチンワークの方が費用がかからなかったため次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H27年度はH26年度で開発した技術を用いて、重点課題1や重点課題2のルーチンワークによる基礎実験を中心に研究を推進する予定である。そこで、次年度使用額を利用して研究員を雇用し、ルーチンワーク研究を進展させる予定である。
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Research Products
(10 results)