2014 Fiscal Year Annual Research Report
ナイロン加水分解酵素の分子設計と産業応用への基盤研究
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26289317
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
根来 誠司 兵庫県立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90156159)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武尾 正弘 兵庫県立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40236443)
加藤 太一郎 鹿児島大学, 学術研究院理工学域理学系, 助教 (60423901)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ナイロン / 加水分解酵素 / 耐熱化 / 生分解 |
Outline of Annual Research Achievements |
ナイロン固相表面の酵素反応の定量化: 66ナイロンはヘキサメチレンジアミンとアジピン酸クロリド(C6)との界面重合により合成できるが、ジカルボン酸として、アジピン酸より炭素鎖長が2個分短いコハク酸クロリドを10~30%割合で添加して共重合させたナイロンでは、添加率の増加とともにNylCによる分解性が上昇することを見いだした。特に、30%添加したコポリマーは、平板上で白濁した薄膜を形成するが、酵素反応で透明化する。薄膜系では、酵素とナイロン表面との接触面積が、反応中、常に一定であるため、完全分解に至るまで、一定の速度で分解が進む。その結果、ナイロンのモノマー化・生分解性ポリアミド開発に必須の基礎データが得られた。 酵素機能と耐熱性改良への応用 マイクロプレートに薄膜化したナイロン試料を用いて、迅速に酵素活性を計測可能な実験系を構築できたことから、この系を用いて耐熱性に優れた酵素や、生分解性ポリアミド選別における多検体スクリーング法としての適用が可能となった。例えば、活性面では、異種モノマー(コハク酸ユニット)の添加率や、用いるナイロン膜厚の調整により、段階的に触媒機能を改善することができた。さらに、分解速度が酵素濃度に比例することから、より低濃度の酵素濃度で高活性を示す酵素(高機能化酵素)の取得も選別可能となった。 各種ナイロンのモノマー化 NylC反応の最終産物は、大半がダイマーであるため、これをモノマー化するためには、別種の酵素が必要である。アジピン酸とヘキサメチレンジアミンから成る66ナイロン基本ユニットを加水分解する酵素は、これまでに報告例がないが、本年度の研究によりNylB変異体の中から、66ナイロンダイマーに作用する変異体を見いだすことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ナイロン固相表面の酵素反応の定量化 66ナイロンはヘキサメチレンジアミン(C6)とアジピン酸クロリド(C6)との界面重合により合成できるが、ジカルボン酸として、アジピン酸より炭素鎖長が2個分短いコハク酸クロリド(C4)を10~30%割合で添加して共重合させたナイロンでは、添加率の増加とともにNylCによる分解性が上昇することを見いだした。特に、30%添加したコポリマー(ナイロン66-64(0.3))は、平板上で白濁した薄膜を形成するが、酵素反応で透明化する。薄膜系では、酵素とナイロン表面との接触面積が、反応中、常に一定であるため、完全分解に至るまで、一定の速度で分解が進む。その結果、ナイロンのモノマー化・生分解性ポリアミド開発に必須の基礎データが得られた。
酵素機能と耐熱性改良への応用(スクリーング用途への適用) マイクロプレートに薄膜を形成させることで、活性・耐熱性に優れた酵素や、生分解性ポリアミド選別における多検体スクリーング法としての適用が可能となる。例えば、活性面では、異種モノマー(コハク酸ユニット)の添加率を、高分解率性を示す30%含有から、20%→10%→0% (66ナイロン)までの段階的な変化や、用いるナイロン膜厚の調整により、段階的に触媒機能を改善することも可能である。さらに、分解速度が酵素濃度に比例することから、より低濃度の酵素濃度で高活性を示す酵素(高機能化酵素)や、異なったモノマーユニットを認識する酵素(ナイロン基質特異性改変)の取得も期待できた。さらに、同様のアプローチは、耐熱性酵素の取得・ポリアミド選別にも適用できることから、本年度の研究は順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
耐熱性に影響を与えるアミノ酸置換の多くが、耐熱性において加減算効果が高いことを見いだしているため、有望変異が個別に見いだされた場合、それらを合わせ持つ酵素の耐熱性は上昇することが期待できる。そこで、段階的な耐熱化により、90~100℃でも安定な酵素の取得を試みる。方法論としては、立体構造解析・計算化学に基づく分子設計と、薄膜系(前項)をスクリーニング系として用いる分子進化工学の2通りのアプローチで試みる(H27)。 分子設計からのアプローチとして、分子動力学計算を、常温(30℃)の代わりに、70~100℃の高温で行い、タンパク質構造の中で変性しやすい領域(運動の揺らぎの大きさ)を評価し、どの部位の相互作用を強くすれば壊れにくくなるかを予測する(H28)。同様の計算は、耐熱性の異なる種々の変異酵素、好熱性菌由来のNtnファミリー酵素についても実施し、耐熱化に有望な候補箇所について、部位特異的機能改変を実施する(H28)。 一方、ナイロン薄膜を用いた酵素活性測定系では、NylCへのランダム変異導入と、90-100℃で熱処理後に活性を保持するクローンの選別による耐熱化も試みる(H27-28)。以上のように、構造解析と計算化学による耐熱化機構の解明、耐熱化に有望な残基の部位特異的変異、分子進化工学的手法、超好熱菌由来の構造情報を合わせて、100℃で安定した酵素反応が可能なナイロン加水分解酵素の取得を目標として、研究を推進する。
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Causes of Carryover |
初年度の予算額に比較して、2年目以降の配分予定額が少なく、かつ、他の予算で確約されているものがなかったため、残額を次年度に繰り越すこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験材料(試薬等の消耗品)の購入、旅費等に充当する。
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[Presentation] ナイロン薄膜を用いた酵素分解評価系の構築2014
Author(s)
清水公晶, 永井圭介, 飯田一希, 衣笠 凌, 伊藤雅人, 加藤太一郎, 武尾正弘, 根来誠司
Organizer
第66回日本生物工学会大会
Place of Presentation
札幌コンベンションセンター(北海道・札幌市)
Year and Date
2014-09-09 – 2014-09-11
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