2014 Fiscal Year Annual Research Report
小型衛星によるマイクロ波合成開口レーダ観測の高度化の研究
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26289327
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
齋藤 宏文 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 教授 (80150051)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 盛介 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 准教授 (50332151)
竹内 伸介 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 助教 (20353419)
冨木 淳史 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 助教 (50455466)
アクバル プリランド.R. 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 研究員 (50724506)
ニジュニク オレグ 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 研究員 (70631612)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 合成開口レーダ / 小型衛星 / スロットアレイアンテナ / リモートセンシング / Xバンド |
Outline of Annual Research Achievements |
(a)2偏波共用のハニカム一層構造スロットアレイ・アンテナの試作:2偏波共用のハニカム一層構造スロットアレイ・アンテナの電気設計を、遺伝アルゴリズムを応用して、アンテナピーク利得とSAR観測の有効ビーム角のビーム効率を最適化する手法によって実施した。この設計を元に、70cmx70cmの2偏波共用のハニカム一層構造スロットアレイ・アンテ ナを試作した。軌道上での熱的な歪対策としては、熱ひずみに脆弱なアンテナパネル単体での利用ではなく、その背後に熱歪に強固なバックアップパネ ル(アルミハミカムコア、CFRPスキン)をはりつける製造法を採用した。H27年度4月から電気測定を開始している。 (b)レーダ送信信号用のマイクロ波電力合成器の開発:入力がマイクロストリップライン入力、出力が矩形導波管である、円形導波管共振器を用いた電力合成器を電気設計した。帯域120MHz、合成損 失0.8dB程度の性能を得た。円形導波管共振器の大きさは、直径27mm、高さ3mmの小型化に成功した。製作方法を企業と検討開始している。 民生品の100W級のX帯パルス増幅器パッケージ(窒素ガス封入)の気密機能の測定を行い、真空中で数年間の使用に問題がないことを確認した。民生品の100W級増幅器の電気特性測定を行った。 (c)SAR観測データをダウンリンクする高速通信:我々が開発した省電力高速送信機のフライトモデルをほどよし4号衛星に引き渡し、H26年6月に打ち上げられた。宇宙科学研究所相模原キャンパ スに設置した3.8mアンテナ受信設備を最終整備した。12月には、ほどよし4号衛星からの16QAM, 348Mbpsの高速ダウンリンク通信 に成功した。これは50kg級衛星としては、世界最高速のダウンリンク通信速度である。プレスリリースを行い、日経新聞朝刊等に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(a)2偏波共用アンテナの開発については、2偏波共用のアンテナの設計製作が 予定どうり行えた。H27年4月現在で電気測定を開始している。軌道上での熱歪対策としては、アンテナパネルの背面に対策用のバックアップパネルをはりつける設計製作を実施した。H27年6月頃から、このモデルを用いて熱歪の実測を開始し、既に実施している熱歪防止を意図した設計手法の確認を行う。以上の点から熱歪問題への対応も概ね順調に実施している。 (b)マイクロ波電力合成器については、円形導波管共振器を用いた電力合成器の電気設計まだは完了した。現在製作法の検討を行っているが、資金計 画と企業の経験不足による、若干の計画遅延が生じている。市販品の100W級アンプの特性測定は略予定どおりに行えている。マイクロ波増幅器の設計については、ドライバアンプを含めた全体構成の検討、電源回路の検討を実施している。 (c)高速ダウンリンク通信については、348Mbpsの衛星実証実験に成功し、近々に64APSK変調方式による500Mbps通信が実証できる予定であり、予定を上回る優れた成果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
(a) 2偏波共用アンテナの開発については、H26年度に試作した70cmx70cmのアンテナパネルの単体電気特性を計測する。予備的に既に得られた結果では、アンテナの中心周波数の実測値が設計値と異なっている兆候が得られている。この原因を調査して、次の試作モデルで修正を行っていく。このアンテナを用いて、表裏に温度差を付けて熱歪による形状変化を実測を行う。これにより、熱歪軽減設計手法の検証を行う。 (b)レーダ送信機の開発については、H26年度に電気設計したマイクロ波電力合成器を試作して、電気特性を計測する。電気計測は小信号で行い、 各ポートのSパラメータ計測や、電力分配器の動作モードで実施する。 (c)高速通信技術については、ほどよし4号衛星を利用して、64APSK,500Mbpsのダウンリンク通信の実証実験を行い、50kg級衛星の世界最高速度を更新する。
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Causes of Carryover |
電気工作や機械工作を研究室で実施して、予算節約に努力したため、58,382円が次年度に繰り越せた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記研究計画の各種計測に用いいる、電子部品やジグ工作に使用を予定している。
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