2014 Fiscal Year Annual Research Report
ピッチ制御機構を有する浮体式垂直軸型水車の耐海水・生物付着性能を考慮した実証研究
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26289340
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
居駒 知樹 日本大学, 理工学部, 准教授 (50302625)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
二瓶 泰範 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00470055)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 垂直軸水車 / 潮流・海流発電 / 可変ピッチ / 浮体式 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究は次のことを目的として実施された.1)直軸水車への可変ピッチ機構適用の優位性の実証と発電機負荷を考慮した性能評価,2)浮体式となった場合の波浪中動揺と波浪そのものの水車性能への影響の把握と課題抽出,3)以上を達成するための実海域(自然環境,理想的でない状況)での実験の実施 既存の可変ピッチ機構付垂直軸水車を改良し,6枚翼の浮体式水車を制作した.この浮体式水車による新潟県粟島浦の漁港内における船舶での曳航試験を実施した.浮体は3000mmの正方形で全体の質量は350kg,水車直径は500mmで翼の没水長さ(喫水)は700mmであった.また,使用した発電機は最大で150Wの出力能力であった.曳航試験により,水車へ流入する流速,水車の回転数・軸トルクならびに発電機の電圧と電流を計測した. 曳航試験では,可変ピッチ翼の可変範囲を0度(可変なしの一般的ダリウス水車状態)~-30度で変更し,船舶の曳航速度もおおよそ3ノット程度を最大船速として変動させた.可変ピッチ翼は船舶の進行方向に指向性を持たせるように調整された.計測項目それぞれについて,軸トルク等から水車パワー,電流と電圧から発電機出力を求めて時系列で直接それを把握すると共に,回転数や周速比に対するそれらの特性が,流速が変動する環境下でどのようになるかを,計測データを解析することによって調査した. その結果,1)船速が大きくない場合には浮体の変動や波浪による水粒子速度の変化に伴う水車に流入する海水の流速変動が無視できず,水車の回転数やパワー等は極めて敏感にその変動影響を受けることが分かった.また,2)流速kが0.5m/sであっても,最大効率は10%を超えた。 発電機負荷をさらに大きくすることで水車出力(発電)は大きくできると推察される。その理由は周速比に対する水車パワー係数特性にピークがまだ見られなかったからである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
水車の性能評価と浮体としての波浪中性能に対する実験計画についてはむしろ研究スケジュールは予定よりも先行している。しかしながら,耐海水性という観点での,完全没水型水車模型設計と生物付着問題への対応が遅れている。平成27年度は新規水車の設計と合わせて没水可能な方法を開発する。生物付着対策については,水槽実験レベルでチタンメッキブレードへの防汚測定試験を実施する。この成果を平成28年度につなげる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
当該研究では本来,弾性ブレードの検討を,水車性能向上の方策として研究スケジュールに加えていた。しかしながら,予算的な制約と他の研究項目との兼ね合いから,弾性体ブレードについては,検討を見送る可能性が高い。 その代わりに,水車本体の開発はより充実させる予定であり,平成27年度は新規の水車模型を制作し,水槽実験レベルでの性能データ取得を実施する。合わせて,CFD計算による性能評価を行う。また,浮体に水車を取り付ける場合の浮体の波浪中性能を調べるための水槽実験を予定どおり実施する。平成26年度は小規模模型による予備実験的な検討であったが,浮体形状を含めた検討を平成27年度は実施する。 これらの成果は平成28年度の実海域試験に全て考慮される。
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Causes of Carryover |
平成26年度の研究活動において,新規の水車設計・開発の机上での検討を実施した。その結果,当初予定していたよりも,大掛かりな装置になることがわかった。本年度は既存水車の改造や安価な浮体模型製作により水槽実験に費やす経費を節約することができた。この経費を平成27年度での新規水車模型設計・制作に繰り越すことを考えた。 以上の理由により,比較的大きな予算規模の繰越を決めるに至った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上述した理由のとおり,1m規模の完全没水型での可変ピッチ機構付き垂直軸型水車の設計・制作とそれの水槽実験経費として申請時予定した経費に加える。
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Research Products
(2 results)