2014 Fiscal Year Annual Research Report
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26289344
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Research Institution | National Maritime Research Institute |
Principal Investigator |
藤原 敏文 独立行政法人海上技術安全研究所, その他部局等, 研究員 (10425754)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齊藤 昌勝 独立行政法人海上技術安全研究所, その他部局等, 研究員 (80359124)
佐藤 宏 独立行政法人海上技術安全研究所, その他部局等, 研究員 (70435775)
石田 圭 独立行政法人海上技術安全研究所, その他部局等, 研究員 (60636827)
渡邊 充史 独立行政法人海上技術安全研究所, その他部局等, 研究員 (20713788)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | VIM / 渦励起動揺 / セミサブ / 模型試験 / レイノルズ数影響 / VIM推定 / 波浪中VIM / ISO |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、セミサブ浮体のVIM現象究明と浮体設計段階で想定海域が与えられた場合に有効となるセミサブVIM評価法の検討を行うこととしているが、1年目の対応として大型セミサブ模型を使用し、高レイノルズ数域でのVIM計測試験を実施した。 具体的には、他研究機関において試験が困難な規模である5m長さ・幅の大型セミサブ模型(コラム形状は円筒型、コラム直径1m、喫水0.7m、排水量2.4ton)を製作し、当研究所400m水槽にて潮流を模擬した曳航試験を実施した。曳航速度は0.1~0.5m/s(想定実機での潮流換算0.39m/s~1.94m/s)で試験を行い、コラム単体との定性的、定量的VIM振幅の差異を明らかにした。また、コラム中心間距離を2.5m及び4mの2パターン設定し、コラム間隔の影響調査を行った。潮流速がある閾値以上になると渦の相互干渉によりVIMの発生振幅に影響を及ぼすことが明らかになった。当初、試験レイノルズ数としては10の6乗レベルを目指したが、曳航抵抗や運用上の制約から10の5乗半ばでの試験となった。また、コラム間隔のみならずロワーハルの影響調査も念頭においていたが、予算、試験実施の制約から断念せざるを得なかった。本件については、次年度実施する小型模型を使った試験の中で調査を行いたい。 以上、得られた結果を参考にしながら、セミサブ浮体のVIM評価法について、文献調査も合わせて検討を行っている。その一方で海洋構造物係留索の疲労安全性に関連し、VIM影響評価法の検討を行い、日本船舶海洋工学会論文集に投稿、掲載された。本年実施した試験の検討結果は、次年度の公表を予定している。 さらに、当研究所関係者とも協力し、ISOの海洋構造物関係規定検討WGにおいて、当所で提案した波浪中における海洋構造物のVIM評価法について協議を行い、ISO基準として規定化される方向にある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定の大型模型を使用したセミサブ浮体のVIM現象を把握し、1年目としてはほぼ予定通り進捗している。ただし、先にも述べたが当初予定した試験レイノルズ数からやや下回った所で試験実施せざるを得なかった点、また、ロワーハルの影響調査が遅れている点が懸案事項として存在するが、平成27年度に実施を予定している水槽試験の中で対応していきたいと考えている。 ISOへの対応としては、協議の中で当所で提案した波浪中における海洋構造物のVIM評価法への理解が得られているところ。本年内に出される改定案に含まれる予定となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目となる本年は、小型セミサブ模型を用いて、前年度に取得した高レイノルズ数域でのVIM計測試験結果と比較することにより、レイノルズ数影響について検討・考察を行う。さらに、モノコラム型浮体では明らかになっている波浪影響によるVIM発達状況の変化について実験的に調査する。この波浪影響は、通常検討されている潮流のみの平水中VIMとは異なる現象が波浪中において発生するもので、係留安全性評価の観点からも注意を要する現象である。現状、この波浪中におけるVIMの現象変化は、発生メカニズムについて不明確な状況であり、理論的に合理的な原因究明が必要とされている。 本年の試験は、長時間の潮流模擬が可能な海上技術安全研究所海洋構造物試験水槽の使用を想定する。当水槽は、昨年度の改修工事により、広範囲に渡る潮流発生、精度の高い大波高の波の発生が可能となっている。水槽間による試験結果の差異について検証を行う上でも、昨年度に使用した大型セミサブ模型を用い再度確認試験を行うと共に、1~2m程度の小型セミサブ模型を用いレイノルズ数影響について調査を行う。さらに前述の波浪影響についても調査する。波浪中VIM現象究明のために、波による渦放出の撹乱状況について詳細に観察できる試験上の工夫を行う。 同時並行的に過去の検討事例も参考にしながら平水中及び波浪中VIM振幅推定法の検討を実施する。基本的には時間領域での2次元の非線形運動方程式(ファンデルポール方程式)を基本とし、流体力項にレイノルズ数影響及び波浪影響を加味できるVIM振幅推定式、評価方法を検討する。
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Causes of Carryover |
大型セミサブ模型(4本コラム型)を製作し、高レイノルズ数域での水槽試験を実施することとしていたが予算査定幅が非常に大きい上に(6割後半の配算)、試験水槽の使用期間確保の点、試験実施運営の制約もあり、ロワーハルまで含めた大型模型の製作・試験実施が困難になった。他にも試験のための係留システム製作が高額になる等、若干当初想定と異なる状況が生じ、結果的に約124万円繰り越すこととさせていただきました。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
小型セミサブ模型の製作や新たな係留システム製作において当初予定よりも高額になることが想定されるため、主として繰り越した予算は、模型試験実施のために使用させていただきたい。
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Research Products
(3 results)