2016 Fiscal Year Annual Research Report
有機シンチレータと一体化した生体等価なピクセル型放射線イメージング検出器の開発
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26289366
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Research Institution | National Institute of Technology, Toyama College |
Principal Investigator |
高田 英治 富山高等専門学校, 電気制御システム工学科, 教授 (00270885)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 浩之 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70216753)
岡田 裕之 富山大学, 大学院理工学研究部, 教授 (80233344)
河原林 順 東京都市大学, 工学部, 教授 (80283414)
飯本 武志 東京大学, 環境安全本部, 准教授 (80302678)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 有機半導体 / 放射線計測 / X線 / ピクセル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
有機半導体を用いることで、生体等価かつピクセル化された放射線イメージング用素子の開発を目指している。立体形状のプラスチックシンチレータ上に有機半導体素子を多数分布させた、これまでにない立体的な放射線イメージングが可能な素子の開発を目的とする。 上のような目的を達成するため、本研究ではインクジェット法による素子のピクセル化を検討した。使用する有機溶剤やドットピッチ等の製作条件を最適化することで、医療用途等に適用可能な検出器の開発には概ね成功した。また、ピクセルサイズによる電流発生量の違いについても評価したところ、全体で同じ有感部面積の場合でも、小サイズの素子を複数並列にして電流を読み出した方が、測定されるX線誘起電流が大きいことを示した。 一方で、従来の有機半導体光検出器は電流出力型の測定方法をとっており、一般的な放射線検出器が採用しているようなパルス計測型の処理は行っていない。そのため、個々の放射線信号の波高値を求めることができず、結果的にエネルギー測定には適用できない状況であった。そこで本研究では、バルクヘテロ型有機半導体素子からの電流パルスを読み出しを目指したが、現在までに実現できていない。 そこで、電流読みだし型の素子を複数使用し、それぞれに異なる種類・大きさの遮へい材を設けることでエネルギー依存性を持たせ、各素子からの電流測定値にアンフォールディング法を適用してエネルギー推定を行う手法について、検討を開始した。これまでに単色X線照射実験を実施し、入射X線エネルギーを変化させた場合、シミュレーションで予想される電流値と測定される電流値の傾向が概ね同様の傾向を示すことを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ピクセル化については概ね順調に進んでいる。しかし、パルス計測手法に関しては、現在までのところ、十分な成果を上げられていなし。今年度はこれまでの素子よりも厚い素子を製作し、再度試みる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
パルス計測手法については、素子の厚さを変化させるなどの方法を用い、実現を試みる。また、ピクセル化に関しては、最適なピクセルサイズや各ピクセルの並列化など、本手法で製作される素子を有効に活用するための検討を進める。ピクセルサイズをさらに小さくし、これまでよりもさらに詳細な放射線イメージングが可能な素子の開発を試みる。また、電流読み出しによるエネルギー推定に関しては、医療用以外に福島第一原発の廃炉に向けた測定への適用可能性が考えられ、今後、単色X線照射実験や、シミュレーションによる遮へい材構造の設計を行う。
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Causes of Carryover |
パルス計測型読み出し方法については、素子が薄すぎる等の理由で現在まで十分な結果が出ていない。そこで平成29年度にさらに検討を行うこととした。また、電流読み出し型の場合でも、複数検出器からの信号を組み合わせることでエネルギー測定が可能である。そのため、次年度に各検出器に異なる遮蔽を施した素子を開発することを念頭に研究を進めた。また、本実験を行うに当たって高エネルギー加速器研究機構の単色X線を使用することが有効であるが、通常使用しているビームラインがメンテナンスのために使用不可の状況となった。そこで、平成29年度に集中的に実験を行うため、次年度使用を行うこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
これまでよりも有感部が厚い素子を製作し、パルス計測可能性を検討する。また、複数素子を組み合わせてエネルギー測定を行うことを試みる。また次年度使用額はそのための試薬類や電子回路部品の購入、高エネルギー加速器研究機構での実験に要する旅費等に充てる予定である。
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Research Products
(4 results)