2015 Fiscal Year Annual Research Report
波形整形レーザーパルスによる分子整列制御の回転コヒーレンス同位体分離への応用
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26289367
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
赤木 浩 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 量子ビーム応用研究センター, 研究副主幹 (70354818)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 原子分子物理 / レーザー同位体分離 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、プラズマシャッターを利用した波形整形ナノ秒レーザーパルスによる分子整列技術を、既存の回転コヒーレンス同位体分離と組み合わせることで、①同位体選択性の向上、②重元素に対する同位体分離の実現を目指す。 H27年度は、N2同位体混合ガス(14N2および15N2)に対し、回転コヒーレンス同位体分離実験を行った。まず、真空チャンバー内に波形整形ナノ秒パルスとイオン化用フェムト秒パルスを集光して導入する光学システムを構築した。両方のパルスのビーム重なりが大きく、かつ集光強度が高くなるように、パルスエネルギーやビーム径等のレーザーパラメータの最適化を行った。その後、実際に、N2同位体混合ガスのジェットに対して集光・照射を行い、各イオン収量のレーザーパルス間遅延時間依存性を測定した。その結果、イオン収量比R(=15N2+/14N2+)が遅延時間を変えることで、±1割程度変化するのが観測された。即ち、波形整形ナノ秒パルスによる同位体選択イオン化が実現した。現在は、Rの変化量をさらに大きくするために、レーザーパラメータの微調整を進めている。また、重元素同位体の対象分子であるハロゲンガスでの実験に向け、腐食性ガス対策も並行して進めている。 また、重元素での実験に先立って、回転波束計算による理論予測を進めている。重元素同位体の対象分子としてIBrを選定し、その同位体混合ガス(I79BrおよびI81Br)に対して、回転波束計算に基づく同位体イオン収量比の理論予測を進めている。波形整形ナノ秒パルスおよびイオン化用フェムト秒パルスの偏光を平行とした条件での理論予測を完了した。現在、2つのレーザーパルスの相対偏光角度依存性を予測するためのプログラム作成を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H27年度の交付申請書に記載した研究実施計画に記載した内容をほぼ実施することが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に則って、研究を実施する。本課題の連携研究者、並びにプラズマシャッターを利用した先行研究を行っている研究者と積極的に情報共有を行いながら、研究を推し進める。
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Causes of Carryover |
物品が当初予定金額より安価に購入できたことなど、実際の使用金額との差額が生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の研究費と合わせて、物品費として使用する予定である。
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Research Products
(5 results)