2015 Fiscal Year Annual Research Report
脳波と脳内血流量の同時計測に基づくエネルギー施策における個人の異質性の解明
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26289370
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉田 好邦 東京大学, 新領域創成科学研究科, 教授 (30302756)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井原 智彦 東京大学, 新領域創成科学研究科, 准教授 (30392591)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 近赤外分光分析法 / 脳血流 / 温熱環境 / 温冷感 / 快適感 / 酸素化ヘモグロビン / 空調 / 省エネルギー |
Outline of Annual Research Achievements |
温熱刺激を与えたときの脳血流の変化を近赤外分光法(near-infrared spectroscopy, NIRS)によって計測する実験により、温熱感覚の客観的評価を試みた。前後にレストの20秒間を挟み、タスクとして被験者には安静状態のまま、右足甲に温冷水を封入したビニール袋を20秒間接触させ続け、温冷感申告の20秒とあわせて80秒を1セットとした。温刺激実験は33、40、33、45℃の順、冷刺激実験は33、23、33、13℃の順で、3周繰り返して合計12セットおこない、脳血流ヘモグロビン濃度変化ならびに皮膚血流、温冷感と快適感の主観申告スコアを計測した。その結果、温刺激に関しては、NIRS計測値は温熱感覚との相関が見られなかった。しかし冷刺激に対しては脳血流の低下が計測され、NIRS計測値が申告結果との有意な正の相関を持つことを確認できた。したがって、冷感についてはNIRSで評価することが可能であるといえる。しかし、計測誤差が大きいので、試行数を増やして検討していくことは必要である。また、温刺激に対しても温度や刺激位置を変えるなど、再度計測し直す必要がある。局所温熱感覚に関わる脳の活動位置や反応傾向を明らかにすることで、NIRSによる評価方法が確立される。その方法を基に、将来的には全身性温熱感覚の評価につなげることで、空調制御に関わる屋内での温熱感覚の評価に用いることができるようになると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
脳血流の変化は手足の動きといった被験者の反応に影響を受けやすく、予想以上にノイズの大きいデータであり、空調による室温と温熱感の関係を脳血流で把握することは現状では困難と考えている。他方、局所的な温冷感については客観的な評価が可能であることが本年度の計測で分かっている。前者については心電計による神経系の反応の計測を次年度に追加する方向を検討中であり、これは当初予期していないことではあるものの、後者の計測が成功したことで、概ね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計測対象としていた脳波については、脳波に関する専門医の助言により、安価な計測機器では正しい計測が困難であるとの示唆を得た。よって、ストレス計測に実績がある心電計による温熱感の計測を次年度は、追加する予定である。
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