2016 Fiscal Year Annual Research Report
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26289375
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
神原 信志 岐阜大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80362177)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 真空紫外線 / 脱硝反応 / 反応メカニズム / 無触媒脱硝 / 低温脱硝 |
Outline of Annual Research Achievements |
常温・無触媒脱硝装置を設計できるレベルまで到達することを目標に,今年度は「光反応場での脱硝素反応メカニズム解明および反応モデルの構築」に取り組んだ。 VUV脱硝の反応メカニズムを考察するために,NO, NO2, O2, H2Oのガスをそれぞれ組み合わせて原料ガスとした.原料ガスの流量を1.0~5.0 L/minに変化させガス滞留時間の影響を調べた.NO入口濃度600 ppm,O2濃度8.0%,水蒸気分圧7.0%で固定とした. ガス滞留時間に対するNOおよびNO2の消滅・生成挙動から反応メカニズムを推定した.NOのみの反応系では,光反応によってNOは減少するがNO2も生成した.しかし,NOの減少量に比べてNO2生成量は少なかった.これより,NOは172 nmのフォトンエネルギーにより一部が解離しN2とNO2を生成すると考えられた.NO-O2系,NO-H2O系においても,NOは減少しNO2が生成するが,NO系と異なるのは滞留時間5s程度でNO2濃度が一定となり,これらの系ではNO2生成速度が速くなることがわかった.これはO2の解離・再結合で生成したO3およびH2Oの解離で生成したOHがNOを酸化させて迅速にNO2に転換していると考えられる.NO-H2O-O2系では,NOは滞留時間8s程度でほぼ全てが除去された.NO2は一旦生成するものの滞留時間12s以上では消滅に転じた.この系の反応経路としては,NOとH2OとO2の3種のガスが共存することによって硝酸の生成が主な反応経路であると考えられる. これらの反応は,光反応によるNO, O2, H2Oの分解反応およびN, O, OH, O3によるラジカル反応と酸化反応から成ることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
VUV脱硝反応においては,NOとH2OとO2が共存することによってNOがHNO3として除去される反応経路であることを明らかにした.反応メカニズムをほぼ解明し,シミュレーションモデルの開発にただちにとりかかれる状況にあることから,当初計画に対し,順調に進展していると評価できる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後,反応物と生成物の物質収支をとり,反応速度を定量的に明らかにすることによって反応メカニズムを解明する予定である.また,素反応シミュレーションモデルを構築し,反応メカニズムの妥当性を検証する.
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