2014 Fiscal Year Annual Research Report
環境負荷物質を含まないクラスレート化合物を用いたセグメント型熱電発電素子の開発
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26289377
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
岸本 堅剛 山口大学, 理工学研究科, 助教 (50234216)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤井 光治 山口大学, 大学情報機構, 准教授 (20314825)
小柳 剛 山口大学, 理工学研究科, 教授 (90178385)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 熱電材料 / 熱電発電モジュール / セグメント型 / クラスレート化合物 / タイプ2クラスレート / K8Ba16Ga40Sn96 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)Sn-Geの2段セグメント素子の作製と評価 低温側部材としてタイプ8クラスレートBa8Ga16Sn30焼結体,高温側部材としてタイプ1クラスレートBa8Ga16Ge30焼結体を用いて,p型とn型の両方について,一体化焼結法を活用して2段のセグメント素子を作製した。その作製条件の制御により,切削加工などに耐えうる機械的強度を有し,かつ,電気的抵抗が十分低い,接合面を得ることに成功した。 (2)発電モジュールの作製と評価 産業技術総合研究所つくばの協力を得て,発電モジュールの作製と評価に関して,上記項目(1)のセグメント素子を用いて,初期的な実験を実施した。その結果,低温側温度300 K,高温側温度873 Kのとき,発電効率7.4 %という高い発電性能を得た。また,セグメント化した発電モジュールの発電特性は,それぞれの部材の熱電特性から予想されるそれとおおむね一致した。 (3)Snクラスレートの高性能化 一つは,タイプ2構造を有するクラスレートについて,比較的高い性能指数ZTを有する,K8Ba16Ga40Sn96焼結体を開発した。この材料の特徴は,単位格子に含まれる原子数が160個と多いため,熱伝導率が格段に低くなることと,キャリア移動度が高いことである。そのおかげで,最大ZTは0.93(630 K)に達し,従前のタイプ8クラスレートBa8Ga16Sn30焼結体の0.83を越えた。このクラスレートの熱電特性について,電子構造計算を行い理論的な検討も加えた。また,この元素置換系であるK8Ba16Al40Sn96も開発した。もう一つは,タイプ3構造を有するクラスレートについて,Cs3Na3Sn20焼結体試料の作製および熱電特性評価を行った。その室温格子熱伝導率は6 mW/(cm K),最大ZTは0.25(490 K)であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた次の研究項目のそれぞれについて,おおむね良好な結果を得ることができた:(1)2段セグメント素子の作製:(2)発電モジュールの発電特性の評価;(3)Snクラスレートの性能改善。
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Strategy for Future Research Activity |
おおむね当初の計画どおりに次の研究項目のそれぞれについて実施する:(1)セグメント素子の作製と評価:(2)発電モジュールの作製と評価;(3)クラスレートの高性能化。
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Causes of Carryover |
熱電発電特性の評価装置の作製に関して,今年度実施予定分の一部を次年度以降に実施することにした。その理由は,評価に関する実験の一部を,今年度は外部機関(産業技術総合研究所つくば)の協力を受けて実施したためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
熱電発電評価装置の作製に関しては,未実施部分を次年度に実施する。 その他に関しては,当初の使用計画に基づき使用する。
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Research Products
(10 results)