2014 Fiscal Year Annual Research Report
太陽電池用レアメタルフリー単結晶基板の作製技術の開発と禁制帯幅制御
Project/Area Number |
26289378
|
Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
吉野 賢二 宮崎大学, 工学部, 准教授 (80284826)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 高効率太陽電池材料 / 半導体 / バルク結晶成長 / 基礎物性評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
低欠陥CZTS単結晶を作製するために、移動ヒーター(THM)法を用いて、融点以下の低温で溶媒を利用した固相反応により、高品質なCZTS単結晶を作製を行った。THM法を用いる理由として、融点以上でカルコパイライト相と異相が混在するため、融点からの成長に適しておらず、融点以下で溶媒から析出成長させる方法が適しているからである。用いている電気炉は、縦型の3ゾーンの電気炉であり、複雑な温度勾配を備えていることが特徴である。複雑な温度勾配を利用して、溶媒が拡散しやすくしている。溶媒の種類や量も重要なパラメーターである。本研究では、スズを用いた。 THM法を用いて、CZTS単結晶の作製も成功した。現在、直径10 mm 長さ30 mm は世界最大であるが、欠陥密度が大きい。溶媒の種類や量および成長速度を制御することにより、低欠陥密度(10,000 /cm3以下)の単結晶が得られた。さらに、ロッキングカーブ測定において、(112)面に劈開したCZTS単結晶で、半値幅100 arcsecが得られた。 単結晶のEPMA 組成分析は、結晶成長方向に沿って行った。先端から5 mm 間隔でウエハー状にカットし、測定を行った。インゴット全体にわたり組成は均一であったがわずかにCu-poor、Zn-rich 組成である。Cu空孔あるいはZnサイトのCuがp型伝導で寄与していると明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
CZTS-Sn 擬二元系状態図を作製し、70 mol%のSn 溶液、成長温度900°C においてTHM 法を用いて良質なCZTS単結晶成長に成功した。融液流動解析で得られた結果により、電気炉の温度勾配をコントロールし、その温度勾配を利用して、欠陥密度の低いCZTS単結晶を作製することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は、CZTSとCZTSeの混晶(CZTSSe)を作製するために、電気炉を増設し、混晶比を変えての作製をスムーズに行えるように行う。その際、水平方向の温度差を検討しながら行う。随時、融液流動解析で柿本浩一教授(九大)や新たに実験装置・条件で野瀬嘉太郎准教授(京大)に協力していただきながら研究を進める。
|