2014 Fiscal Year Annual Research Report
問題解決課題時の前頭葉細胞における予測符号化仮説に基づく神経過程の解明
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26290001
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
虫明 元 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80219849)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 頭頂連合野 |
Outline of Annual Research Achievements |
サルを訓練をして数操作課題を行わせた。数操作とは、モニター画面に最初に提示された白丸の数を記憶し、次に与えられた白丸の数を増やしたり減らしたりすることで、最初の数に合わせる課題である。例えば、最初の目標数が3、つぎに提示された数が1であれば、丸を増やす操作を2回行い1→2→3として目標数3に合わせます。最初の目標数に正しく合わせると報酬としてジュースをもらえる。また、最初の目標数が0で次に提示された数が2であれば、丸を減らす操作を2回行い2→1→0として目標数0に合わせる。サルはこの課題を成功率72%で行うことが出来た。サルは0から5までの数であれば、このような数操作を行うことができた。 このような課題を行っているサルの脳から神経細胞活動を電気的に記録したところ、驚くべきことに、ゼロで最も応答する神経細胞が多数見つかった。このようなゼロで最も活動が高い細胞を、ゼロ細胞と新しく名づけた。これらのゼロ細胞は、ゼロ以外の数に対する応答で2種類に分かれました。ひとつは、ゼロ以外の数には全く応じない細胞(デジタルゼロ細胞)で、もう一つはゼロ以外に隣の数である1にも活動する細胞(アナログゼロ細胞)である。これは人の2つのゼロ概念、「有無としてのゼロ」と「順列としてのゼロ」にそれぞれ相当し、それらの概念を表す神経細胞が霊長類にも存在することが世界で初めて明らかになった。さらに、アナログゼロ細胞の他の数に対する応答を調べたところ、数がゼロに近づくほど応答が大きくなり、ゼロから離れるほど応答が小さくなることが明らかになった。これは、人のメンタルナンバーラインという認知モデルに相当すると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ゼロ細胞の発見とその細胞種類に2つあること、他の数操作の成績に関連することなど驚くべき事実が明らかになった。この研究成果は世界初でありプレスリリースを計画している
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Strategy for Future Research Activity |
今後は改めてゼロを含む数操作に関連して 高次運動野からは、数カテゴリー、数操作、実際の運動に関連するかを分類しつつ調べる。そして予測符号化仮説で期待される情報の動的な変化を細胞レベルで解明する。
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Causes of Carryover |
購入しようと考えていた電極の納期が間に合わずに次年度に購入することになった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度の物品計画に含めて電極等の必要部品の購入にあてる計画である。
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