2016 Fiscal Year Annual Research Report
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26290013
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Research Institution | Okazaki Research Facilities, National Institutes of Natural Sciences |
Principal Investigator |
東島 眞一 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(岡崎共通研究施設), 岡崎統合バイオサイエンスセンター, 教授 (80270479)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ゼブラフィッシュ / 脊髄神経回路 / 運動 / 左右強調 |
Outline of Annual Research Achievements |
脊髄内d6交差型抑制性介在ニューロンが、ゼブラフィッシュ幼魚の遊泳運動の体の動きの左右相反抑制に関わるニューロンであることを明らかにすることが平成28年度の大きな目標であった。平成27年度までの実験で、すでにこれらのニューロンが、遊泳運動中に同側の運動ニューロンと同期して発火し、また、反対側の運動ニューロンと直接抑制性のシナプス結合していることを見いだしていた。平成28年度は、d6交差型抑制性介在ニューロンの重要性をより直接的に示すことに重点をおいて研究を進めた。具体的には、脊髄内d6交差型抑制性介在ニューロンにジフテリア毒素を特異的に発現させることによって、当該ニューロン群を除去し、得られた魚の表現型を調べた。左右相反抑制が消失、あるいは現象している場合、遊泳運動の際に、左右の運動ニューロンが同時に発火してしまうことが期待される。実際に、左右の運動ニューロンの活動を、運動ニューロンの軸索から細胞外記録を取る電気生理学的解析により、このような表現型がしばしば現れることが分かった。また、ハイスピードカメラにより、幼魚の行動の観察を行った結果、遊泳運動が非常にぎこちなくなっていることが示された。この結果は、左右の筋肉の同時収縮がしばしば起こってしまっていることを強く示唆している。これらの研究結果より、d6交差型抑制性介在ニューロンが遊泳運動の際に、左右の相反抑制にきわめて重要な役割を果たしていることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
d6交差型抑制性介在ニューロンが遊泳運動の際に、左右の相反抑制にきわめて重要な役割を果たしていることを明らかにすることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、脊髄内d6交差型抑制性介在ニューロンをジフテリア毒素によって除去した魚の表現型をさらに詳しく調べる。具体的には、左右両側の筋肉細胞からの膜電位イメージングを行うことを計画している。
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Causes of Carryover |
当初計画では、平成28年度中に、光遺伝学の手法を用いて、左右交差型介在神経細胞の活動を人為的に制御することによりその機能を調べる予定であった。しかし、光遺伝学実験に必要なデジタルマイクロデバイスを用いて任意の場所に光照射を行う顕微鏡が故障し、実験計画に遅延が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
デジタルマイクロデバイス制御による顕微鏡を用い、光遺伝学の手法を利用して、左右交差型介在神経細胞の活動を人為的に制御することによりその機能を調べる。
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[Journal Article] Functional visualization and disruption of targeted gene using CRISPR/Cas9-mediated eGFP reporter integration in zebrafish.2016
Author(s)
Ota, S., Taimatsu, K., Yanagi, K., Namiki, T., Ohga, R., Higashijima, S., and Kawahara, A.
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Journal Title
Scientific Reports
Volume: 6
Pages: 34991
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Social conflict resolution regulated by two dorsal habenular subregions in zebrafish.2016
Author(s)
Chou, M-Y., Amo, R., Kinoshita, M., Cherng, B-W., Shimazaki, H., Agetsuma, M., Shiraki, T., Aoki, T., Yamazaki, M., Higashijima, S., and Okamoto, H.
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Journal Title
Science
Volume: 352
Pages: 87-90
DOI
Peer Reviewed