2015 Fiscal Year Annual Research Report
成体大脳新皮質で神経細胞を新生させて脳機能を回復する手法の創出
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26290014
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
玉巻 伸章 熊本大学, 生命科学研究部, 教授 (20155253)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨岡 良平 熊本大学, 生命科学研究部, 助教 (30415244)
那須 信 熊本大学, 生命科学研究部, 助教 (80634790)
江角 重行 熊本大学, 生命科学研究部, 助教 (90404334)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 興奮性神経細胞 / 抑制性神経細胞 / 大脳新皮質 / 成体脳神経新生 / 細胞増殖因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
大脳新皮質では、脳血管障害や外傷により神経細胞が脱落しても、脳機能を有意に 回復させる神経細胞新生現象は知られていません。その様な中、私どもは、興奮性神経細胞を特異的に除く実験を行いました。その結果、マウスは、左半球の運動野の機能不全によると思われる右回旋を繰り返すようになりました。しかし右回旋は2週間後には収まります。私共は、この間に起きた治癒現象の意味を、BrdUをマウス腹腔内に投与して調べたところ、有意な数の神経細胞がBrdU陽性となっていて、治癒は神経細胞新生によりなされたと考えられました。私は、この様な神経細胞新生現象を、思うように望む領域に起こして、大脳新皮質の機能を回復させる手法を創出し始めました。 まず、実際にマウスの大脳新皮質で神経細胞が新生されたかを調べるために、GFPを発現させるシンプルレトロウイルスを作成して、神経細胞が新生されていると考えられるところにシンプルレトロウイルを注入して見ました。その結果、これまでに複数回、GFP陽性の興奮性神経細胞と抑制性神経細胞を観察することに成功しました。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに、大脳新皮質で神経細胞を新生させることが可能であることを実証できたので、論文として発表する準備を進めています。 大脳新皮質を包む軟膜の外表面には、多くの神経前駆細胞が分布していますが、普段は冬眠状態にあるので、その存在自体が検出できません。しかし、成体マウスの大脳新皮質に電極を挿入してkindlingを形成させると、大脳新皮質神経細胞が発現しているマーカーと同じ分子を、軟膜外表面で検出することができるようになります。更に時間を待つと、大脳新皮質を構成する神経前駆細胞と同じ前駆細胞が、軟膜外面に観察されるようになります。その後、シンプルレトロウイルスを使って、GFPを神経前駆細胞に発現させますので、軟膜外表面の神経前駆細胞が、大脳新皮質に組み入れられて行くことも証明できます。
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Strategy for Future Research Activity |
障害を受けたマウス大脳新皮質に、直接神経前駆細胞を注入しても、神経細胞は生着しません。それを養う、Growth factorが必須であるいう証拠を得ています。今後、細胞増殖因子を質量分析器で、神経細胞を生着させる分子を確認していきます。
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Causes of Carryover |
これまでに、大脳新皮質で、神経細胞を新生させる手法を、ほぼ確定することができたので、 マウスと試薬を準備して、神経細胞新生法の効率を十分に上げるため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
マウスに感染させるウイルスを作成するための試薬を準備するために、予算が必要となりました。
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Research Products
(1 results)