2015 Fiscal Year Annual Research Report
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26290018
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
秦野 伸二 東海大学, 医学部, 教授 (60281375)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大友 麻子 東海大学, 医学部, 助教 (50535226)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 脳神経疾患 / 脳・神経 / 神経科学 / 遺伝子 / 蛋白質 |
Outline of Annual Research Achievements |
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、上位及び下位運動ニューロンの選択的変性を特徴とする進行性運動ニューロン疾患である。本研究は、複数のALS疾患発症要因の相互連関に関するこれまでの研究から見出された“p62/SQSTM1シグナル系”を制御系候補として、p62/SQSTM1が担う細胞内システム制御系の分子機構とその異常について解析し、最終的にALS発症に関わる運動ニューロン恒常性維持機構、及びその破綻の分子基盤を明らかにすることを目指すものである。平成27年度は、変異SOD1凝集体の蓄積量を増大させるメカニズムを明らかにするために、脊髄におけるユビキチン化タンパク質の存在量を解析した。その結果、ALSマウスモデルでは脊髄の不溶画分において発症後期から終末期にかけて顕著なユビキチン化タンパク質の蓄積が観察された。興味深いことに、そのユビキチン化タンパク質の蓄積は、p62の欠損によって抑制されていた。また、免疫組織染色を用いて脊髄におけるユビキチン化タンパク質を検出した結果も矛盾なく、ALSマウスモデルに見られるユビキチン陽性の凝集体がp62を欠損させることによってその総量は減少していた。しかし、運動ニューロン細胞体でのユビキチン陽性凝集体は逆に増加していた。これらの結果から、脊髄におけるp62やユビキチン陽性凝集体の全てが神経細胞死を誘起するものではなく、むしろ神経細胞での選択的ユビキチン陽性凝集体の蓄積が細胞死を誘起し、p62欠損は神経細胞への選択的蓄積ならびに細胞死を加速させることが新たに明らかにされた。さらに、神経細胞以外で観察されるユビキチン陽性凝集体は、神経細胞を保護するために有害物質を隔離すべく形成されているものであり、p62欠損は有害物質の無毒化作用の減弱をもたらしている可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、多種類の遺伝子改変マウスを相互に交配することにより、複数の遺伝子の個体レベルでの影響を解析する実験を継続して実施している。多くの遺伝子改変マウスの個々の系統での繁殖状況は良好であるが、多重交配による変異マウスの作出効率は、予想より著しく低いのが現状であり、昨年度に引き続き当該問題は解決に至っていない。しかし、主要な系統の繁殖コロニーサイズを増やすことで、実験に必要な最低限の個体数は得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、新たに変異型SOD1-TGマウスとp62-TGマウスとの交配、及び神経特異的p62-KO(p62-flox;Nes-Cre)マウスとの交配実験を継続し、個体レベルでの脳・脊髄神経細胞におけるp62の特異的分子機能とALS疾患発症への影響を解析する。さらに、ALS患者で新たに同定されたp62/SQSTM1遺伝子変異の分子機能についての培養細胞レベルでの分子機構解析を進める。具体的には、p62-KOマウス由来の胎仔大脳皮質及び脊髄由来の初代神経培養細胞に野生型p62及び変異体を発現させ、神経細胞内におけるp62の局在・動態解析を行う。予備実験の結果、神経細胞の細胞体と軸索及び樹状突起において一部のp62陽性小胞においてp62とLC3が共存し、p62の一部は軸索と樹状突起に存在するオートファゴソームに局在することを明らかとしている。今後、特に重要な上記2系統を用いた動物実験及び培養細胞実験を集中的に実施することにより、実験計画の遂行を加速させ、最終年度である平成28年度中末までに、p62/SQSTM1が担う細胞内システム制御系の分子機構とその異常、及びALS疾患発症の新たな分子的側面を明らかにする計画である。
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Causes of Carryover |
平成27年度の実験動物飼育費用として見積もっていた支出額が予定したより若干安価(差額318,026円)であったため、平成28年度に繰越金が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度は、動物実験に関わる繁殖コロニーを増加させるため、繰越金(318,026円)については動物飼育経費として使用する計画である。
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[Journal Article] Six SQSTM1 mutations in a Chinese amyotrophic lateral sclerosis cohort.2015
Author(s)
Yang, Y., Tang, L., Zhang, N., Pan, L., Hadano, S., and Fan, D. -S.
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Journal Title
Amyotroph. Lateral Scler. Frontotempo. Degen.
Volume: 16
Pages: 378-384
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Presentation] Loss of SQSTM1/p62 but not NFE2L2/Nrf2 exacerbates motor neuron degeneration in a mutant SOD1-expressing mouse ALS model.2016
Author(s)
Hadano, S., Mitsui, S., Otomo, A., Sato, K., Ono, S., Chen, X. P., Aoki, M., Warabi, E., Yamamoto, M., Ishii, T., Yanagawa, T., Shang, H. -F., and Yoshii, F.
Organizer
15th Asian and Oceanian Congress of Neurology
Place of Presentation
Kuala Lumpur Convention Centre (Kuala Lumpur, Malaysia)
Year and Date
2016-08-18 – 2016-08-21
Int'l Joint Research
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[Presentation] Analysis of axonal transport in cultured neurons from ALS model mouse by using the microfluidic cell culture system.2016
Author(s)
Otomo, A., Araki, R., Yokoyama, S., Wada, J., Hadano, S., and Kimura, H.
Organizer
第39回日本神経科学大会
Place of Presentation
パシフィコ横浜(神奈川県、横浜市)
Year and Date
2016-07-20 – 2016-07-22
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[Presentation] The novel ALS2-interacting small G protein Rab17 colocalizes with ALS2 in recycling endosomes.2015
Author(s)
Ono, S., Otomo, A., Onodera, W., Sato, K., Mitsui, S., Fukuda, M., and Hadano, S.
Organizer
26th International Symposium on ALS/MND
Place of Presentation
JM Marriott Orlando Grande Lakes (Orlando, U.S.A.)
Year and Date
2015-12-11 – 2015-12-13
Int'l Joint Research
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[Presentation] Loss of p62/SQSTM1 but not Nrf2 accelerates motor neuron degeneration in SOD1H46R transgenic mice.2015
Author(s)
Mitsui, S., Kubo, M., Pan, L., Otomo, A., Koike, M., Uchiyama, Y., Aoki, M., Yamamoto, M., Ishii, T., Yanagawa, T., Shang, H. -F., Yoshii, F., and Hadano, S.
Organizer
第38回日本神経科学大会
Place of Presentation
神戸国際会議場(兵庫県、神戸市)
Year and Date
2015-07-28 – 2015-07-31
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