2014 Fiscal Year Annual Research Report
分界条床核に着目した負情動生成機構と病態モデルにおける変容メカニズムの解明
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26290020
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
南 雅文 北海道大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (20243040)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 神経科学 / 薬理学 / 情動 / 不安 / 抑うつ / 分界条床核 |
Outline of Annual Research Achievements |
分界条床核は、内側前頭前野、海馬台、扁桃体、腕傍核などから入力を受け、様々な情報を統合し、情動や摂食、内分泌などの機能調節に重要な役割を果たしていることが明らかになりつつあるが、それら情報統合における各神経路、特に、入力経路の役割についてはほとんど明らかでない。本研究では、抑うつ、不安、嫌悪などの負情動生成の神経機構について、申請者らの研究により痛みによる負情動生成での重要性が示された分界条床核に焦点を当て、受容体作動薬・拮抗薬を用いた従来の薬理学的手法と、光遺伝学による神経路特異的な解析手法を融合的に用いることにより、負情動生成機構を明らかにし、気分障害モデルおよび慢性疼痛モデル動物における当該神経機構変容のメカニズムを解明することを目的とする。平成26年度の研究では、特に扁桃体に着目し、扁桃体中心核にチャネルロドプシンを発現させた動物を用い、分界条床核に光照射することで当該神経路の活動を促進し、行動薬理学的実験により不安および嫌悪反応を解析した。不安様行動評価には高架式十字迷路試験、嫌悪反応評価にはリアルタイム場所嫌悪性試験を用いた。分界条床核への光照射により高架式十字迷路試験において、オープンアーム滞在時間の減少が観察されたことから、扁桃体から分界条床核に投射する神経路が不安情動生成に関与していることが示された。リアルタイム場所嫌悪性試験については、一定した結果が得られなかったことから、当該試験のプロトコール変更を計画している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度において、扁桃体から分界条床核に投射する神経路が不安情動生成に関与していることを示す実験結果を得られたことから、研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の研究において不安情動生成に関与することが示された扁桃体から分界条床核に投射する神経路について、分界条床核に挿入した光照射用ファイバーに近接して薬物投与カニューレを挿入し受容体拮抗薬等を投与して不安情動生成に及ぼす影響を高架式十字迷路試験により評価することで、不安情動生成に関与する神経伝達物質を明らかにする。また、内側前頭前野、海馬台、腕傍核、側坐核などの扁桃体以外の脳部位から分界条床核に投射する神経路についても光遺伝学を用いた行動薬理学的解析を進める。さらに、脳スライスパッチクランプによる電気生理学的解析手法を用いて分界条床核神経のタイプ分類を行った後に、負情動生成に関与することが示された神経路を光遺伝学的手法を用いて選択的に活性化することにより、当該神経路が分界条床核においてtypeⅠ~Ⅲのいずれの神経細胞の活動を調節するかを明らかにする。さらに、受容体拮抗薬等を用いた薬理学的解析により当該シナプス伝達に関与する受容体・チャネルについて詳細に検討する。
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[Journal Article] GABAergic neurons in the ventral tegmental area receive dual GABA/enkephalin- mediated inhibitory inputs from the bed nucleus of the stria terminalis.2014
Author(s)
Kudo, T., Konno, K., Uchigashima, M., Yanagawa, Y., Sora, I., Minami, M., Watanabe, M.
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Journal Title
Eur. J. Neurosci.
Volume: 39
Pages: 1796-1809
DOI
Peer Reviewed
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