2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26290041
|
Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
吉田 清嗣 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (70345312)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 癌 / 幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々がp53依存的細胞死誘導キナーゼとして同定したリン酸化酵素DYRK2と癌幹細胞発生・維持機構について研究を進めている。昨年度に乳癌で明らかにしたIn vivo xenograftモデル実験と同様に、DYRK2をノックダウンした卵巣癌細胞でも免疫不全マウスに移植し造腫瘍効果を調べると、コントロール細胞に比べ、明らかな造腫瘍能の増強が認められた。その分子機構として、DYRK2がSnailをリン酸化し分解を誘導するため、DYRK2の機能不全は上皮間葉転換(EMT)を惹起し、EMTへの遷移が造腫瘍効果や癌幹細胞性獲得に関与していることが示唆された。すでに乳癌細胞においては、DYRK2をノックダウンすると表面抗原CD44 high/CD24 lowで定義付けられている幹細胞の割合が著しく増加するという知見を見出しており、現在この分子機構の解明に取り組んでおり、マスター転写因子の同定に成功している。興味深いことに、これまでに癌組織検体におけるDYRK2の発現を検証したところ、低分化型であったり悪性度が高い癌ほどその発現が顕著に低下していることをいくつかの異なる癌腫で見出しており、癌幹細胞の割合との逆相関が予想されることから、引き続き検証を進めている。またゲノム編集技術を用いたDYRK2ノックアウトマウスの作製に成功し、現在その機能解析を始めている。さらに同様の手法により乳癌細胞株のDYRK2ノックアウト化にも着手している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
DYRK2ノックダウンによる癌幹細胞化の分子機構の詳細がかなり明らかになったことと、予定よりも早くDYRK2ノックアウトマウスの作製が成功し、その解析に取り組み始めているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
DYRK2ノックダウンによる癌幹細胞化の分子機構について、細胞株のノックアウト化も含めさらなる検証を行うとともに、DYRK2ノックアウトマウスの解析を進める。
|
Causes of Carryover |
次年度使用額は八千円余りであり、ほぼ予定通りの研究経費を使用していると認識している。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
以上より、来年度も予定通りの研究経費使用を考えている。
|