2014 Fiscal Year Annual Research Report
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26290061
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
加納 純子 大阪大学, たんぱく質研究所, 准教授 (10323809)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | テロメア / 染色体 / ヘテロクロマチン / サブテロメア |
Outline of Annual Research Achievements |
真核生物の線状染色体末端のテロメアに隣接して、サブテロメアと呼ばれる領域が存在する。近年、テロメアに関する知見は飛躍的に蓄積したが、サブテロメアを含むテロメア隣接領域の機能については、その領域を完全に細胞から取り除くことが困難であることなどから、不明な点が多く残されている。そこで本研究では、染色体を3本しか持たない分裂酵母を用いて、“実験生物史上初のサブテロメア完全欠失株”を作製し、サブテロメアDNA、サブテロメアに形成されるヘテロクロマチン構造、サブテロメア隣接領域の新規機能解明を行う。 26年度はサブテロメア共通配列欠損株の表現型解析を中心的に行った。分裂酵母の第3染色体に存在するサブテロメアDNA配列を決定し、サブテロメア共通配列をすべて欠失させた株(SD5)を作製することに成功した。サブテロメア共通配列の生理学的意義を探るため、SD5株の表現型を解析した。SD5は致死ではなかったことから、サブテロメア配列は増殖に必須ではないことがわかった。また、減数分裂、胞子形成にも異常がなく、DNA損傷やDNA複製阻害、高温などのストレスにも高い感受性を示さなかった。一方、通常サブテロメア配列上に形成されるヘテロクロマチン構造が、サブテロメア配列に隣接する領域約50 kbに形成されており、その領域に存在する遺伝子の発現が抑制されていた。さらに、SD5株においてテロメラーゼ遺伝子を破壊したところ、サブテロメア配列以外の部位における組換え反応によって染色体の環状化が起こり、生育可能になる株が出現することがわかった。中には異染色体間で融合した株もあり、片方の染色体でセントロメアの不活性化が起こっていることが予想された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
サブテロメア全欠失株の作製に成功し、表現型解析もかなり進んだ。現在、論文投稿に向けて仕上げの実験をしているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
サブテロメアに間期のみ局在することがわかっているセントロメアタンパク質Sgo2の機能解析を進める。また、サブテロメアヘテロクロマチンの境界を決定している分子メカニズムについても解析を行う。
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Causes of Carryover |
現在、当該研究の対象タンパク質であるSgo2のリン酸化制御について解析しており、そのリン酸化を特異的に認識する抗体を作製している。その納品が次年度になることになり、抗体作製費、およびそれに関する実験にかかる費用を次年度に使用することにした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
Sgo2タンパク質のリン酸化抗体作製費(1種類あたり40万円、全部で4種類を予定)、およびリン酸化解析のための分子生物学的実験の試薬代に使用する。
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[Presentation] 染色体末端の神秘2014
Author(s)
加納純子
Organizer
第21回酵母合同シンポジウム
Place of Presentation
東京大学、東京
Year and Date
2014-09-03 – 2014-09-04
Invited
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