2015 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム情報正常発現を保証するスプライシング未完了RNAの核内繋留機構
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26290062
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
坂本 博 神戸大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (00187048)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 邦夫 神戸大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (40252415)
鈴木 穣 東京大学, 新領域創成科学研究科, 教授 (40323646)
中井 謙太 東京大学, 医科学研究所, 教授 (60217643)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ゲノム機能発現 / 遺伝子発現調節 / RNAスプライシング / 核外輸送 / 品質管理 / 翻訳制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、EJC中核因子がどのようにしてスプライシング複合体と相互作用し、どのようにしてスプライシング未完了RNAを核内に繋留しているのかについてその分子機構を解明し、ゲノム情報の正常発現を保証する根幹的な細胞システムを明らかにすることを目的としている。研究代表者は、Y14を中核とするpre-EJC機能をRNA干渉法によって阻害した場合、イントロンを含むスプライシング未完了RNAが細胞質に漏出するが、この漏出にはsnRNAの核外輸送受容体として知られているCRM1が関与することを明らかにしている。さらに、核外輸送受容体類似因子NXF-2がCRM1と協調してスプライシング未完了RNAの細胞質漏出に関与するも明らかにしている。この知見を基にして、平成27年度は機能未知のNXF-2、mRNAの核外輸送受容体であるNXF-1及びNXF-1の補助因子NXT-1のトランスジェニック線虫を作成し、それらの細胞内動態を解析した。その結果、核外輸送受容体NXF-1が核内に大部分が局在すること、一方核膜孔複合体との相互作用ドメインを持たないNXF-2は核に局在するとともに、細胞質において顆粒状の構造体を形成し、NXT-1もこの顆粒状構造に共局在することを明らかにした。また、NXF-2とNXT-1が相互作用することを免疫沈降実験によって明らかにした。さらに、哺乳類培養細胞の系を用いたレポーター発現解析実験によって、NXF-2が翻訳促進活性を持つことを明らかにした。以上の結果は、NXF-2が特定のmRNAを核外輸送し、輸送後のmRNAの翻訳制御に積極的に関与することを強く示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
トランスジェニック線虫系統を用いた細胞内局在解析が進み、免疫沈降実験系も確立できた。特に、機能が未知であったNXF-2の細胞内機能解析が大きく進展した。また、pre-EJC因子の進化的機能保存性の解析も順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
NXF-2が関与すると想定される学術的に新規性が高いmRNAの核外輸送と翻訳制御の連携システムの研究を優先的に実施するとともに、このシステムとスプライシング未完了RNAの核内繋留機構との関連性を明らかにする。
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Causes of Carryover |
予定していた試薬の納入が遅れたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
28年度は当該試薬が納入可能になったので使用する。
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Research Products
(4 results)