2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26290068
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
栗崎 晃 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 創薬基盤研究部門, 上級主任研究員 (60346616)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 仁実 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 創薬基盤研究部門, 研究員 (80641068)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 肺 / 幹細胞 / 再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
肺がんや近年増加中の肺結核の後遺症に苦しむ患者は多く、死因の10%が肺疾患である。特に、肺気腫や慢性気管支炎などの慢性閉塞性肺疾患は咳や喀痰、息切れなどで慢性呼吸不全を伴いQOLが著しく低下する難治疾患である。現在、本疾患には、気管支拡張剤や去痰剤の対症療法、酸素吸入による延命措置以外の方法はないと言われている。また、肺は40種類以上の細胞で構成される極めて精密な臓器であり、これら多様な細胞群を効率良く作製するのは容易ではない。また、上記のような肺は自己再生能力が低く、自然治癒能力には限界がある。このような現状を改善する方法として多能性幹細胞からこれらの細胞を分化させる試みが行われているが、未分化なiPS細胞の混入による腫瘍化や目的外細胞の出現など、分化を完全にコントロールするのは容易ではない。そこで本研究では、線維化した肺組織から新たに機能を復活させた細胞群を作製するために、分化転換技術の検討を行っている。これまでにマウス線維芽細胞に数種の遺伝子を導入し、肺組織細胞特異的遺伝子発現を上昇させるための候補を見出し、その必要性について検証を行った。また、免疫蛍光染色により、各種肺組織特異的マーカーをタンパクレベルで発現誘導できているかの検証も行っている。一方で、このように作製した肺細胞を移植し検証するための肺疾患モデルマウスについても作製し、移植実験により組織再生効果を検討中である。また、GFPマウスから調製した線維芽細胞を用いた検討も行っており、GFP陽性細胞を移植する実験についても検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヒト細胞での実験がやや遅れており、センダイウイルスの調製についても思いのほか時間がかかっているが、これらのデータ取得を急ぎたい。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト細胞でのデータを取得し、センダイウイルスを用いた実験効率の検証実験、さらにはin vivo実験のデータを取得することで、本研究の完成を急ぐ予定である。
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Causes of Carryover |
お金がかかる予定であったヒト細胞実験が培養条件の最適化が進まず、予定より遅れており、昨年度必要と予定していた試薬代が持ち越しとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
昨年度末よりヒト細胞実験が進展し始めたため、本年度は昨年度より持ち越したヒト細胞実験試薬代を使用し、成果の取得を急ぎたい。
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