2014 Fiscal Year Annual Research Report
なぜアカリンダニが増えたのか?―農薬がミツバチ寄生ダニに与える影響の評価―
Project/Area Number |
26290074
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
坂本 佳子 独立行政法人国立環境研究所, 生物・生態系環境研究センター, 特別研究員 (80714196)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 太郎 独立行政法人農業生物資源研究所, その他部局等, 主任研究員 (50414941)
五箇 公一 独立行政法人国立環境研究所, 生物・生態系環境研究センター, 主席研究員 (90300847)
森口 紗千子 独立行政法人国立環境研究所, 生物・生態系環境研究センター, 特別研究員 (50583431)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | アカリンダニ / ニホンミツバチ / 外来種 / ネオニコチノイド系農薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.国内におけるアカリンダニの分布調査:日本に分布するトウヨウミツバチ(以下、ニホンミツバチ)とセイヨウミツバチ合わせて400コロニーから、1コロニーあたり10-50個体のワーカーを採集し、検鏡による寄生状況を調査した。その結果、ニホンミツバチでは約半数のコロニーからアカリンダニが検出され、分布は東日本が中心で、西日本ではほとんど確認されなかった。セイヨウミツバチではアカリンダニの寄生は1群も確認されなかった。 2.アカリンダニの遺伝子解析:まず、上述のサンプルから寄生された気管ごとDNAを採集し、ミトコンドリアのCOI領域およびリボソームRNAの18S-28S領域において、ミツバチの遺伝子は増幅せず、アカリンダニの遺伝子が特異的に増幅するプライマーを開発した。18S-28Sでは、気管ごと抽出したDNAから2種類の遺伝子型が検出されたため、1個体ずつ抽出を行うことにした。9都府県より採集し遺伝子解析を行った結果、COIではすべて同一の配列、18S-28Sでは同一個体から2種類の配列が検出されたもののすべて同様の波形を示し、データベースに登録されているヨーロッパ産のアカリンダニの遺伝子配列と一致した。これらのことから、日本で見られるアカリンダニは、海外からの侵入種で、単一系統が分布を拡大した可能性が高いことが示された。 3.飼育試験:茨城県を中心に春の分蜂集団を採集し研究所に持ち帰り、巣枠式巣箱による飼育・維持を行った。実験室内で寄生個体からニホンミツバチおよびセイヨウミツバチへの寄生率を比較した結果、両種で寄生が見られたものの、ニホンミツバチへの寄生率が高かった。アカリンダニに寄生されたニホンミツバチコロニーと、健全なコロニーを低温条件下に置き、サーモグラフィを用いて体温の変化を計測した結果、アカリンダニ寄生コロニーで体温の低下が早い傾向が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目は飼育実験や遺伝子解析の基本的な実験体系の確立を目標にしており、それはおおむね達成されたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目からは、農薬と寄生率との関係について飼育実験で明らかにしていく予定である。 しかし、昨年末、野外で維持しているニホンミツバチのコロニーがアカリンダニに寄生されて崩壊した例がいくつかあり、アカリンダニの防除方法についても検討していく必要がある。
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Causes of Carryover |
全国のサンプル採集のための旅費として計上していたが、初年度はおおむね日本各地の養蜂会の皆様にご協力いただき、サンプルを郵送してもらうことができたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
分蜂群を捕獲するための巣箱や飼育環境の整備に使用する。
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Research Products
(7 results)