2016 Fiscal Year Annual Research Report
なぜアカリンダニが増えたのか?―農薬がミツバチ寄生ダニに与える影響の評価―
Project/Area Number |
26290074
|
Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
坂本 佳子 国立研究開発法人国立環境研究所, 生物・生態系環境研究センター, 研究員 (80714196)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 太郎 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, 上級研究員 (50414941)
五箇 公一 国立研究開発法人国立環境研究所, 生物・生態系環境研究センター, 室長 (90300847)
岸 茂樹 国立研究開発法人国立環境研究所, 生物・生態系環境研究センター, 特別研究員 (80726050)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | アカリンダニ / ニホンミツバチ / セイヨウミツバチ / ネオニコチノイド系農薬 / 外来種 / 反応行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)生息分布:昨年度に引き続き、日本に分布するセイヨウミツバチおよびニホンミツバチ、合計627群から1コロニーあたり10-50個体のワーカーを採集し、アカリンダニの寄生率調査を行った。その結果、セイヨウミツバチのアカリンダニ寄生群率は3.6%、ニホンミツバチは62.6%であった。全国的な分布としては、本州では寄生率が減少傾向にあるのに対し、四国、九州地方では急激に増加していることが明らかになった。
(2)グルーミング行動の比較実験:ダニが宿主間を移動するためにミツバチ体外に出た際に、ミツバチがそれを払い落す行動(グルーミング、以下GR)が見られることに着目し、両種におけるGR行動の比較を行った。ダニをミツバチ胸部背面に付着させると、両種ともにGR行動が誘発されたが、GRを行った個体の比率は、ニホンミツバチよりもセイヨウミツバチで高かった。また、GRを行った個体のうち、ダニの除去に成功した比率も、ニホンミツバチよりもセイヨウミツバチで高かった。さらに、GRを行った個体について、一般化線形モデルを用いて解析した結果、「ダニの除去」に対して、影響が見られた説明変数は「ミツバチ種」のみで、「GR回数」と「GRが誘発されるまでの時間」の影響は確認されなかった。以上より、ミツバチ2種間のGR行動の違いが、両種における寄生率の差を導いていることが示唆された。
(3)農薬暴露実験:ネオニコチノイド系農薬3剤(イミダクロプリド、チアメトキサム、クロチアニジン)におけるセイヨウミツバチの半数致死量(LD50)を決定した。LD50の10分の1および100分の1を亜致死量としてセイヨウミツバチに経口投与し、ミツバチのアカリンダニに対するGR行動とダニ寄生率に及ぼす影響について調査した。その結果、ダニの寄生率に変化は見られなかったものの、GR行動に対する影響が確認された
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度開発した実験システムを用いて、順調にデータを採取できている。 研究計画は滞りなく遂行しており、本研究の成果発表(特に誌上発表)にも尽力している。
|
Strategy for Future Research Activity |
昨年度は、主にセイヨウミツバチにおける農薬暴露の影響評価を行ったが、今年度はニホンミツバチを中心にデータの採取を行う。
|
Causes of Carryover |
サンプル採集のための旅費を計上していたが、一部のサンプルについては、全国の養蜂家・研究者のご協力により郵送にて入手することが可能となったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初予定していたネオニコチノイド系農薬3剤の影響評価だけではなく、その他の薬剤についてもデータを追加する。
|
Research Products
(12 results)