2015 Fiscal Year Annual Research Report
複製開始領域および新規な制御因子DARSとdatAにおける複合体の時空間動態制御
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26291004
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
片山 勉 九州大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (70264059)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 義人 九州大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (60315091)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 遺伝子 / ゲノム / 細菌 / 蛋白質 / 分子機械 / 高次複合体 / DNA複製 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、新規に創出した、特異的なDNA配列に結合するキメラDnaAを活用した複製開始複合体の構造動態解明については、昨年度に主要なデータが得られたためこれに基づき更に解析を進め、開始複合体内でのDnaA多量体の配向様式を初めて解明した。これはJ. Biol. Chem.誌に論文発表した。さらに本年度はキメラDnaAを更に活用し、2重鎖開裂反応、およびDnaB装着反応を詳細に検討し、新規で重要なデータが得られた。これらについては学会発表し、その一部は優秀発表賞(日本遺伝学会Best Papers賞等)に選ばれた。論文執筆も進めている。加えてDnaA多量体形成の促進機構およびDnaA-DnaB結合の双方を阻害する新たな蛋白質因子を発見した。これはFront Microbiol誌に論文発表した。 また、酵母ORCの主要サブユニットOrc1の部位特異的変異体を多数作成し、in vivoおよびin vitroで機能解析した結果、複製起点の認識に必須となる新たな機能モチーフを見いだした。これはSci Rep誌に論文発表した。この過程で酵母ORCの効率的な精製法も開発した(Front Microbiol誌に論文発表)。 RIDAを制御するHda活性化制御の分子機構解析のため、昨年度の解析結果に基づき、数種のHda変異体を作成し予備検討した上で重要なものに絞り、詳細にin vitro再構成系を用いて機能解析した。 さらに、複製起点oriC, datA (DDAH機能をもつDNA因子)、およびDARS-DNA因子におけるヒストン様因子の結合解離の分子機構解明のため、昨年度の解析結果に基づき、大腸菌粗抽出液から生化学的手法によってヒストン様因子結合阻害活性の精製を進めた。昨年度に直面したテクニカルな問題はほぼ解決し、阻害因子の同定のため重要な情報が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究計画については、ほとんど計画通り達成され、その成果を計画の2年度目にして定評のある国際誌に論文として発表できたほか、国内学会でも高く評価された。これらをもとに新たに共同研究として発展している課題もある(学会発表済み)。他にも重要な結果が得られている研究が複数あり、総合して計画以上に発展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
全体的に順調に進んでいるので、今後も計画に従って進行させる。最終となる3年度目については、実験計画の進行とともに論文発表にもより注力してゆく。ただ一部の高額な実験装置が老朽化し故障しやすくなっている。消耗品の節約に更につとめてできれば早期に機器を更新するよう進めたい。
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Causes of Carryover |
主な理由は、2015年度末頃(2016年2月)にオープンアクセスジャーナルに論文が採択され、その掲載料を振り込んだが、その分の科研費(基金分)からの引き落としが2015年度内でなく2016年度になったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記の論文掲載料として使用する。残額は計画の実行に必要な消耗品として有効に利用する
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