2016 Fiscal Year Annual Research Report
ARLファミリーGタンパク質群の作動原理と生理機能の解析
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26291038
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Research Institution | Meiji Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
紺谷 圏二 明治薬科大学, 薬学部, 教授 (30302615)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒木 信 明治薬科大学, 薬学部, 助教 (20552904)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 低分子量Gタンパク質 / エンドサイトーシス / リソソーム / マウス / 胚発生 |
Outline of Annual Research Achievements |
ARL8は低分子量Gタンパク質ARF/ARLファミリーに属し、ヒトやマウスでは2つのサブタイプ(ARL8a及びARL8b)が存在する。細胞レベルではARL8は主にリソソーム機能に重要であると考えられている。申請者は、個体レベルにおけるARL8の生理的役割を解明する目的で、ARL8a及びARL8bのノックアウトマウスの解析を進めており、前年度までの研究で、マウス胚発生において、卵黄嚢内胚葉(子宮に面している側の細胞層)におけるArl8bの機能が、正常なマウス初期胚発生に重要であることを示唆する知見を得た。そこで本年度の研究では、卵黄嚢内胚葉特異的にArl8bをノックアウトするコンディショナルノックアウトマウス(ARL8bCKO)を作出し、その表現型解析を行った。その結果、ARL8bCKOではジーントラップ法により作製したARL8bノックアウトマウス(ARL8bKO)と同様に、1)E8.5やE10.5において、胚の大きさがコントロール群に比べて小さいこと、2)卵黄嚢内胚葉が肥大化しており、細胞内に電子密度の高い、LAMP1(後期エンドソーム・リソソームに局在する膜タンパク質)陽性小胞が多数存在していること、3)母体由来のタンパク質であるアルブミンやIgGが、卵黄嚢内胚葉に蓄積していること、を明らかにした。卵黄嚢内胚葉は、母体由来の物質をエンドサイトーシスにより取り込み、リソソームで分解して、その産物を胎仔に提供することから、胎盤が形成される以前の胚への栄養供給に重要な役割を担っていると考えられている。従って、卵黄嚢内胚葉におけるArl8bの欠損は、リソソームによる分解能の低下を惹起し、胎仔への栄養供給が不全となり、体長縮小などの胚発生異常が引き起こされる可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
卵黄嚢内胚葉におけるリソソーム機能の重要性は指摘されていたものの、これまでの研究はリソソーム酵素阻害剤やトータルノックアウトマウスを用いた解析によるものである。従って本年度の研究において、卵黄嚢内胚葉特異的なArl8bコンディショナルノックアウトマウスを用いて、胚発生における卵黄嚢内胚葉のリソソーム機能の重要性を明らかにできた点は評価に値する。
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Strategy for Future Research Activity |
ARL8bの欠損により、なぜ卵黄嚢内胚葉のリソソーム機能が低下するかは不明な点が多く残されている。例えば、カテプシンLの成熟型の量が低下する原因も明らかではない。そこで今後は培養細胞などを用いた実験も併用しながら、ARL8bによるリソソーム機能制御の分子メカニズムの解明を目指す。
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Causes of Carryover |
Arl8の生理的役割を明らかにする目的で、Arl8ノックアウトマウスの表現型解析を行ったところ、様々な部位で興味深い表現型が観察されることが判明し、それらの解析に想定以上の時間を要した。従って現在も解析を続行しており、それらの結果を取りまとめて論文投稿するのに当初の計画以上の期間が必要となったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験に必要な消耗品や、高効率での遺伝子導入が必要となる実験があるため、エレクトロポレーション装置の購入費用に充てる予定である。
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Research Products
(3 results)