2015 Fiscal Year Annual Research Report
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26291039
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
神吉 智丈 新潟大学, 医歯学系, 教授 (50398088)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ミトコンドリア / オートファジー |
Outline of Annual Research Achievements |
ミトコンドリアオートファジー(略してマイトファジー)は、選択的なミトコンドリア分解機構である。マイトファジーは、ミトコンドリア品質管理に大きく貢献しており、様々な疾患にも関連する重要な現象であるが、ヒトを含む高等生物で、マイトファジーの分子機構はほとんど解明されていない。我々は、これまでに出芽酵母を用いた実験系において、マイトファジーに関連する遺伝子のスクリーニングを行い、マイトファジー関連因子の同定とその分子機構の解明を試みてきた。本研究では、これまでの研究を哺乳類まで発展させ、出芽酵母およびヒト細胞の実験系において、マイトファジーに関連する遺伝子の同定とその分子機構の解明を目的としている。 平成27年度は、出芽酵母における研究では、マイトファジーに必須なミトコンドリア外膜タンパク質Atg32のリン酸化制御に関する検討と行い、既に同定していたCK2によるAtg32のリン酸化を負に制御することでマイトファジーを抑制する機構が有ることを明らかにした。 また、哺乳類における研究では、ミトコンドリアの形態とマイトファジーとの関係に付いて研究を進め、両者に需要な関連性が有ることを見出すことができた。また、研究をマウス動物モデルにまで発展させるための予備実験に成功している。 本研究では、さらに線虫を用いた実験を推進しているが、線虫に関してはこれまでの所、特筆すべき研究成果は得られていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、ミトコンドリアオートファジーの分子機構を出芽酵母、線虫、ヒト細胞を用いて解明しようとする研究であるが、平成27年度は、出芽酵母とヒト細胞を用いた研究で十分な成果が上がっており、当初の計画以上に進展していると判断した。また、研究をさらに発展させ、マウス実験も取り入れつつ有る。一方で、線虫の研究は、必ずしも予定通りに進展しているとは言えない。全体として考えると、おおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)出芽酵母においてミトコンドリア外膜タンパク質Atg32のリン酸化は、マイトファジーの最初のステップとして必須の修飾であることが判っている。これまでに、Atg32のリン酸化に関わるキナーゼとしてCK2を同定しているが、CK2によるAtg32のリン酸化がどのように制御されているかについては全く解明されていなかった。過去2年間でAtg32のリン酸化制御に関わる因子の探索により、リン酸化を制御する因子の候補がいくつか同定されている。今年度は、これらを詳細に確認し、Atg32リン酸化に強い影響を及ぼす因子を同定し、その機能解析を行う。 (2)線虫を用いたマイトファジー研究は、マイトファジー観察法の樹立が困難であり、他の生物を用いた時ほど、スクリーニングに適した観察法が樹立できなかった。今年度は、これまでに得た線虫での研究成果を振り返り、何らか打開策を作っていく予定である。 (3)ヒト培養細胞における研究は、順調に推移しており、過去2年間でミトコンドリア形態とマイトファジーとの関係などの解明に成功している。今年度は、これらの成果を論文として報告するとともに、マイトファジーとミトコンドリア恒常性に関する研究を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
物品購入等の納品・検収は平成27年度内に完了したが、支払いが4月になり次年度となったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度内に執行済であり、支払いは4月に完了している。
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[Journal Article] Guidelines for the use and interpretation of assays for monitoring autophagy (3rd edition)2016
Author(s)
Klionsky DJ, Abdelmohsen K, Abe A, Abedin MJ, Abeliovich H, Acevedo Arozena A, Adachi H, Adams CM, Adams PD, Adeli K, Adhihetty PJ, Adler SG, Agam G, Agarwal R, Aghi MK, Agnello M, Agostinis P, Aguilar PV, Aguirre-Ghiso J et al.(2468名中982番目)
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Journal Title
Autophagy
Volume: 12
Pages: 1-222
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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