2016 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳動物細胞のミトコンドリア融合・分裂の制御と個体における生理的意義
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26291044
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
石原 直忠 久留米大学, 分子生命科学研究所, 教授 (10325516)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ミトコンドリア / オルガネラ / 膜融合 / 膜分裂 / GTPase |
Outline of Annual Research Achievements |
ミトコンドリアは細胞内で融合と分裂を繰り返しながらそのバランスの基に形態を動的に維持している。このミトコンドリアのダイナミックな形態変化が、様々な生命現象の制御に関与していることが明らかになりつつある。我々は、哺乳動物のミトコンドリア融合・分裂を制御するGTPase及びその関連因子を同定・解析することで分子理解を進めている。一方、分裂因子Drp1の遺伝子欠損マウスを構築・解析することで、発生・分化における生理的意義を明らかにしてきた。本年度の研究では特に、これまで理解があまり進められてこなかった、ミトコンドリアの融合と分裂のバランスの制御の分子機構に着目して研究を行った。 ミトコンドリアの融合と分裂の制御の分子機構を調べる目的で、Drp1を抑制した時の細胞応答を解析した。ミトコンドリア分裂因子Drp1をRNAiで抑制し、あるいはゲノム編集により遺伝子欠損させたHeLa細胞を構築した。これらの細胞のタンパク質をウェスタンブロットで、またmRNAをRT-PCRで観察し、変動因子を探した。すると、Mfn1, Mfn2, OPA1等のミトコンドリア融合に関わるタンパク質群に発現量の大きな減少が見られた。この時、RNAの発現量は大きな変動は見られなかった。さらに詳細解析を行うと、Mfnタンパク質群はユビキチンプロテアソーム系で分解されており、一方OPA1はミトコンドリア内の膜内プロテアーゼOma1により分解されていることが分かった。これらのことから、ミトコンドリア形態のバランス制御には様々なタンパク質分解系が関与していることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ミトコンドリアの融合と分裂による動的変化の制御の分子機構を調べる目的で、融合に必須な因子Drp1を抑制した細胞の応答を解析し変動因子を探しところ、Mfn1, Mfn2, OPA1等のミトコンドリア融合に関わるタンパク質群のうち、Mfnタンパク質群はユビキチンプロテアソーム系で分解されており、一方OPA1はミトコンドリア内の膜内プロテアーゼにより分解されることが分かった。今年はこの融合と分裂のバランスの制御に関わる因子群の詳細解析を行うことで、これまでに知られていなかったミトコンドリアの形態バランスを制御する分子機構の一端を明らかにすることができた。またこの成果はGenes to Cell誌に報告することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
哺乳動物ミトコンドリアの動的構造変化の全容を理解するため、分子機構と生理機能を両面から解析する。融合・分裂・核様体制御因子の解析に関して、新規ミトコンドリアダイナミクス因子の同定を行う。特に、遺伝子スクリーニングにより関連因子を同定する。ミトコンドリア形態と核様体の形態を同時に観察することで、ミトコンドリア膜ダイナミクスの制御因子と核様体の形成因子の候補を同時に同定できる。既にスクリーニングは進行中であり、特に2重膜を介してmtDNAと分裂を協調させる因子の同定を目指して引き続き研究を進める。
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Causes of Carryover |
新規因子同定の作業を進行中であるが、引き続き翌年度にも進めることとしたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
結合因子の同定及び解析を本格的に進める。cDNA・siRNA・抗体等を購入・作成し、それらを用いた細胞解析を進める。
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Research Products
(15 results)
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[Journal Article] D-Glutamate is metabolized in the heart mitochondria.2017
Author(s)
M. Ariyoshi, M. Katane, K. Hamase, Y. Miyoshi, M. Nakane, A. Hoshino, Y. Okawa, Y. Mita, S. Kaimoto, M. Uchihashi, K. Fukai, K. Ono, S. Tateishi, D. Hato, R. Yamanaka, S. Honda, Y. Fushimura, E. Iwai-Kanai, N. Ishihara, M. Mita, H. Homma, and S. Matoba.
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Journal Title
Sci. Rep.
Volume: 7
Pages: 43911
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Synaptic dysfunction, memory deficits and hippocampal atrophy due to ablation of mitochondrial fission in adult forebrain neurons.2016
Author(s)
B. Oettinghaus, J. Schulz, L. Restelli, C. Savoia, A. Schmidt, K. Schmitt, A. Grimm, L. Mor, J. Hench, M. Tolnay, A. Eckert, P. D'Adamo, P. Franken, N. Ishihara, K. Mihara, J. Bischofberger, L. Scorrano, S. Frank.
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Journal Title
Cell Death Differ.
Volume: 23
Pages: 18-28
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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