2014 Fiscal Year Annual Research Report
形態形成のロバスト性を維持するシグナルのファインチューニングシステム
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26291050
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
別所 康全 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 教授 (70261253)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中畑 泰和 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教 (50390810)
松井 貴輝 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教 (60403333)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 形態形成 / 体節形成 / ロバスト性 / Notch / 遺伝子発現 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞生物の胚は発生過程において、温度変化や有害物質による外部環境からの攪乱にさらされており、さらに転写や細胞移動、細胞分裂などの素過程は、ゆらぎに満ちたものであると考えられる。それにもかかわらず、形態形成は正確におこなわれ、生物はきわめて正確に均整のとれたかたちに作られる。このことから生物の形態形成機構はロバスト性を維持する仕組みを備えていると考えられる。本研究ではせきつい動物の体節形成をモデルとして、シグナル伝達がフィードバックループによってファインチューニングされることが、形態形成のロバスト性機構を支えていることを明らかにする。 これまでにNotchシグナル経路のフィードバックインヒビター因子であるNrarpをノックアウトしたマウス胚は、バルプロ酸などの催奇形性物質に対する感受性が野生型マウス胚に比べて高く、体軸骨格形成がバルプロ酸投与によって大きく乱されることを明らかにした。体軸骨格のもととなる体節における遺伝子発現のパターンもバルプロ酸によって大きく乱された。体節は、体節の原基で起こっている遺伝子発現の振動の周期性を利用して、周期的に形成されることで空間的な周期パターンが生み出される。バルプロ酸は遺伝子発現の振動を一過的に乱し、細胞間の振動の位相がバラバラになるが、野生型胚では速やかに進行が同調するが、Nrarpノックアウトマウス胚では同調させる力が弱いことを示唆するデータを得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Nrarpノックアウトマウスを利用して、Nrarpノックアウトマウス胚がバルプロ酸刺激に対して感受性が高いことをモデル系として、発生過程のロバスト性維持機構の解明を目的に研究を進めているが、Nrarpが細胞間の協調的ふるまいである遺伝子発現振動の同調性に関わることを既に明らかにしているので順調に進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、計画通り進める。
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Causes of Carryover |
作製を予定していたトランスジェニックマウスの一部の作製が遅れているために、次年度に作製する。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
遅れているトランスジェニックマウスの作製を早急に行う。
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Research Products
(5 results)