2016 Fiscal Year Annual Research Report
ハエトリグモの視覚・非視覚系に着目した動物のUV光利用の多様性の解析
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26291070
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
小柳 光正 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 准教授 (30379276)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 生理学 / 光生物学 / 紫外光 / 感覚 / ロドプシン |
Outline of Annual Research Achievements |
多くの動物は、UV光を受容し、視覚や視覚以外の役割(非視覚)に利用している。本研究では、動物のUV光利用の多様性を知る目的で、視覚(主眼)・非視覚(後中眼)に機能分化した2種類の眼でUV光受容を行うハエトリグモに着目し、分子基盤の解析を起点として、それぞれのUV光受容が関わる生理機能の解明を目指す。平成28年度は以下の研究成果を得た。
・これまで解析に用いていたハエトリグモとは別種のハエトリグモおよびハエトリグモとは網膜構造が異なるクモ類(カニグモやコモリグモ等)を多数種採取し、光受容タンパク質遺伝子のクローニング用のRNAおよび網膜構造の解析のために十分な組織を入手した。 ・UV光受容の生理的役割の手がかりを得る目的で、複数のクモ類について、UV光受容タンパク質に加えて可視光受容タンパク質についても培養細胞発現系を用いた解析を行い、可視光受容タンパク質の吸収スペクトルの測定に成功した。また、光受容タンパク質の機能解析を行うための新しい解析系を確立した。この手法によって、組換え光受容タンパク質の調整が困難であるためにこれまで解析不能であった光受容タンパク質についても、吸収スペクトルや駆動する光情報伝達系を調べることが可能となった。 ・網膜以外の組織で発現する新規非視覚光受容タンパク質について、培養細胞発現系を用いて吸収スペクトルを明らかにした。また、光受容の特性を知る目的で、光情報伝達に関与する他の分子についても解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の基盤となる技術とリソースはすでに揃っており、UV光受容に関する実験については着実に進み、さらに、可視光受容の解析や他のクモ類への展開も順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
別種のハエトリグモおよびハエトリグモ以外のクモ類の解析を精力的に進め、光受容タンパク質の分子特性と網膜構造との関連から、クモ類の光利用について、種あるいは生態の違いとの連関を調べる。また、UV光受容だけでなく、可視光受容についても同様の解析を進めることで、UV光受容の生理的役割と同時に、UV光受容と可視光受容との関わりあいを明らかにする。
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Causes of Carryover |
多様なクモ類の入手について、当初の計画よりも低コストで予想以上の成果が得られたために次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
光受容の分子基盤を起点とした解析を、当初の研究計画以上に得られた多種類のクモ類に対して展開し、より大規模・網羅的に「クモ類の光利用」と「種あるいは生態の違い」との連関を調べる。
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Research Products
(24 results)