2014 Fiscal Year Annual Research Report
多機能抗体を用いたエピジェネティクス操作によるヒストン修飾の意義の解明
Project/Area Number |
26291071
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
木村 宏 東京工業大学, 生命理工学研究科, 教授 (30241392)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 染色体 / クロマチン / 遺伝子発現制御 / ゲノム / エピジェネティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、修飾ヒストン特異的抗体や様々な機能を付加した一本鎖可変領域抗体を細胞内に導入することで、個々のヒストン修飾を標的とした解析を行い、遺伝子発現とクロマチン制御におけるヒストン修飾の意義について理解することを目的として行っている。 本年度は、細胞分裂におけるヒストンH3のリン酸化の意義を明らかにすることを目的として、H3のSer10とSer28のリン酸化に特異的なモノクローナル抗体をそれぞれ大量に調製し、ビーズローディング法により細胞の細胞質に導入した。抗体は分子量が大きくて核膜を通過できないため、M期に核膜が崩壊した後に修飾ヒストンに結合する。そのため、最初の分裂期におけるヒストン修飾の機能を阻害すると考えられた。また、分裂期の染色体動態を可視化するため、導入した抗体とは異なるリン酸化を認識する蛍光標識抗原結合断片(Fab)を同時に導入した。その結果、コントロールの非特異的抗体に比べて、H3S10のリン酸化抗体とH3S28のリン酸化抗体を導入した場合、生細胞観察によって分裂期の時間の遅延や染色体の不分離などに異常が見られた。また、免疫蛍光抗体染色によっても、染色体分配の異常が確認された。今後、これらの異常の原因を探ることで、ヒストンH3リン酸化の意義を明らかにできると考えられる。 一方、一本鎖可変領域抗体を用いた阻害実験のために、新規モノクローナル抗体を作成し、ハイブリドーマ細胞から一本鎖可変領域のクローニングを行っている。今後、細胞内で機能するクローンのスクリーニングを行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、所属機関を異動することになり、研究を中断せざるを得ない期間があったのに加え、研究員の雇用も難しい状況であった。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度以降、抗体の直接の導入に加えて、遺伝子コードシステムの開発を行い、研究を推進する。
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Causes of Carryover |
本年度は、所属期間の変更などにより、研究員の雇用ができなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に研究員を雇用して研究を推進する。
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Research Products
(2 results)