2014 Fiscal Year Annual Research Report
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26291073
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
藤島 政博 山口大学, 理工学研究科, 教授 (40127783)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 進化生物学一般 / 二次共生 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はミドリゾウリムシと共生クロレラを使い、細胞内共生(二次共生)の成立に必須の4種のチェックポイントの存在を発見した (Kodama, Fujishima. Int Rev Cell Moll Biol, 279, 33-77, 2009)。本申請研究ではチェックポイント1~3の性質について調べた。 (1) チェックポイント1(同一食胞内の一部のクロレラが宿主リソソーム酵素耐性を獲得):宿主から単離した共生クロレラがチェックポイント1で宿主リソソーム酵素耐性を獲得するには宿主と混合前に24時間以内の恒明条件が必須であることが分かった。光合成阻害剤存在下でも同じ結果になることから、光合成ではなく光を必要として誘導される現象であることが分かった(Kodama, Fujishima.FEMS Micro Biol Ecol, 90, 942-955, 2014)。 (2) チェックポイント2 (食胞膜の出芽によるクロレラの脱出):食胞膜の出芽に関与するダイナミンの種類を特定するため、紅藻シゾンのダイナミンと複数の市販の抗体を使用して交叉反応性をテストしたがまだ出芽根を標識する抗体は見つかっていない。 (3)チェックポイント3(食胞膜からPerialgal Vacuole膜への分化): 筆者等が作成したPV膜特異的モノクローナル抗体を用いた間接蛍光抗体法で感染初期過程を観察すると、この抗体の抗原は、リソソーム融合阻止能力の出現時期よりも後で出現し、PV膜特異的抗原は複数存在することが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
(1)チェックポイント1のプロテオーム解析が遅れている。 (2)チェックポイント2のダイナミンがまだ検出できていない。 (3)PV膜特異的モノクローナル抗体を使用して、PV膜抗原が複数存在することを示唆する結果が得られたが、感染初期に出現が予測されるリソソーム融合阻止機能に関する抗原の抗体がまだ得られていない。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)単離クロレラを光合成存在下と非存在下でタンパク質合成させ、2D-SDS-PAGEでスポットを比較し、光合成存在下で合成されるタンパク質を網羅的にゲルから切り出してモノクローナル抗体を作成する。光合成存在下でタンパク質合成させた単離クロレラを各抗体でマスクし、宿主食胞内での消化を促進させる抗体を検出する。 (2)市販のダイナミン抗体から食胞膜の出芽根を染色する抗体を検出する。 (3)他のPV膜抗体を使用して、感染過程での各抗原の出現時期を特定する。
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Causes of Carryover |
共生クロレラのトランスクリプトーム解析を基礎生物学研究所と共同研究で行うための次世代シーケンサの試薬費として約25万円を予定していたが、細胞壁が固いクロレラからのRNAの精製が年度末でもうまくいかず、年度内に実施することができなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
共生クロレラのRNAの精製は、精製条件を変更してH27年5月中に実施する。この前年度繰越金約25万円は、5月か6月中に、当初予定のH27年度予算執行には影響させずに消費できる。
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Research Products
(18 results)