2014 Fiscal Year Annual Research Report
林床植物の生活史モノグラフ研究ーエンレイソウ属植物を事例にー
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26291087
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大原 雅 北海道大学, 地球環境科学研究科(研究院), 教授 (90194274)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石崎 智美 新潟大学, 自然科学系, 助教 (20632433)
富松 裕 山形大学, 理学部, 准教授 (40555398)
山岸 洋貴 弘前大学, 学内共同利用施設等, 助教 (40576196)
高田 壮則 北海道大学, 地球環境科学研究科(研究院), 教授 (80206755)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 植物生活史 / 林床植物 / 植物個体群 / 繁殖特性 / エンレイソウ属植物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、日本と北米大陸に隔離分布するエンレイソウ属植物46種のうち、希少種14種を除く32種を対象とする。これまで研究代表者らが植物の生活史研究の軸として行ってきた、a)野外における個体のモニタリング調査による個体群生態学的データセットのほか、交配様式、送粉様式、そして種内の地域変異の有無を明らかにする。b)個体の時間的・空間的情報を基にした集団の遺伝的構造の把握と種分化プロセスの生態遺伝学的解析を行う。c)個体群統計学的情報と遺伝学的情報を集約した数理解析を行い、個体群の維持機構を定量的に解明する。これら3つアプローチを統合してエンレイソウ属植物における「種の生活史の進化」に関するモノグラフを完成させることを目的としている。 初年度にあたる平成26年度は、対象とする個体群の数、網羅する個体数などに関して、調査デザインの統一を行い、モニタリング調査を行った。また、生活史特性の中でも、特に繁殖特性は個体群構造ならびに個体群の遺伝的構造に多大な影響を及ぼすため、各種の自家受粉率、強制他家受粉での結実率、花粉と胚珠の比率、雄しべと雌しべの空間配列、開花時期を測定し、花粉媒介昆虫への依存度や自家受粉効率の評価を行った。 各種個体群に関する個体群統計学的データをもとに繁殖率、死亡率、種子繁殖依存率、栄養繁殖依存率をパラメーターに持つ個体群の絶滅確率推定のための数理モデルを作成し、さまざまなパラメーター依存性について解析を行った。。特に、(1)種子繁殖依存率、栄養繁殖依存率と絶滅確率との関係、(2)繁殖率と死亡率との間に相関がある場合の繁殖率と絶滅確率の関係、(3)成熟個体の生存率と絶滅確率の関係に着目して、モデルを構築を試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者および分担者各自が当初の予定していた内容の研究を遂行し、2年目以降につながる素地を確立できている。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度、順調に研究を遂行することができたので、今後も、研究代表者および分担者が各自の専門分野と担当に基づき、研究を進めていくことで、期待される成果をあげられるものと考える。
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Causes of Carryover |
研究代表者おほび分担者ともに、研究計画通りに調査、研究を実行することができたが、石崎(分担者)に関しては、予定していた野外調査が天候不良のため実施できなかったことなどにより、次年度への繰り越しが生じている。また、物品費に関しては、各自節約につとめた結果、当初の支出予定額よりも、安価で購入することができたため、次年度に予算を繰り越すこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰り越された予算は、平成26年度に実施できなかった野外調査を含め、平成27年度の研究に充当され、さらなる充実した内容の研究を展開させる予定である。
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Research Products
(3 results)