2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26291097
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
前田 享史 九州大学, 芸術工学研究科(研究院), 教授 (90301407)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 貴孝 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (80713148)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 生理人類学 / 環境適応能 / 生理的多型性 / 体温調節 / 産熱反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
寒冷曝露時の非ふるえ熱産生及びふるえ熱産生の定量化手法を確立することを主目的とし、寒冷曝露実験と個人特性の測定を実施し、各熱産生反応と個人特性との関係および各熱産生反応の季節差から熱産生様式に影響を及ぼす要因の検討を行った。 成人男性10名を対象に夏期(7~8月)および冬期(12月)に全身寒冷曝露実験を実施した。個人の特性として身体組成、安静時代謝量を測定し、影響要因として日常活動量、栄養摂取量、実生活環境における気温・湿度を測定した。全身寒冷曝露実験は、軽装で28℃、50%RHに制御した人工気候室において60分間の安静を保った後、70分間かけて気温を5℃に低下させ、その後20分間5℃を保った。その間、皮膚温12部位(前額、腹、前腕、手背、手指腹側、大腿、下腿、足背、胸、背、鎖骨上窩、左側後頸)、核心温2部位(舌下、直腸)、血流量4部位(鎖骨上窩、前腕、手指、大腿)、表面筋電図2部位(胸、大腿)、心拍数、血圧、酸素摂取量、皮下組織温4部位(右鎖鎖骨上窩、左鎖骨上窩、胸、大腿)を測定した。 寒冷曝露中の呼気ガスから算出したエネルギー消費量(REE)の増加開始時間を非ふるえ亢進開始時間、筋電図積分値の増加開始をふるえ開始時間とした。非ふるえ亢進からふるえ開始間のREEから基礎代謝量を減じて非ふるえ産熱量、ふるえ開始から寒冷曝露終了までのREEから基礎代謝量を減じてふるえ産熱量とした。 各々の季節において全身寒冷曝露実験から得られたデータから非ふるえ熱産生・ふるえ熱産生の開始時間やサンエツ両に及ぼす要因を回帰分析を用いて検討した。また、産熱反応の季節差の検討も実施し、個人における産熱パターンの季節差および影響要因の検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度当初の予定どおり、夏期および冬期に寒冷曝露実験を実施し、季節差の検討ができたことからおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度に得られたデータに加え、本年度は20名程度を対象に同様の実験を実施し、被験者数を増やすことによって、寒冷曝露実験における産熱パターンの個人差の評価をより詳細に行う。また、これまでに得られたデータを総合的に分析して、生理的データに基づいた寒冷時の熱産生反応における生理的多型性の評価を試みる。
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Causes of Carryover |
当初計画では、温冷覚閾値測定装置の導入を本年度に予定していたが、研究代表者が平成27年4月より北海道大学から九州大学へ異動になったことに伴い、研究遂行上、旅費など他の経費が必要ななることが予想されたことから、温冷覚閾値測定装置の導入を次年度に延期したために次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度保留し延期した温冷覚閾値測定装置の導入に使用する計画である。また、最終年度となるため、研究成果の発表とそれに伴う英文校正などの費用として使用する予定である。
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