2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26291097
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
前田 享史 九州大学, 芸術工学研究科(研究院), 教授 (90301407)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 貴孝 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (80713148)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 生理人類学 / 環境適応能 / 生理的多型性 / 体温調節 / 産熱反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は寒冷環境下における熱産生反応をさまざまな生理データから非ふるえ熱産生とふるえ熱産生に分けて評価する方法を確立し、各個人の熱産生反応を非ふるえおよびふるえ熱産生の発現パターンから個人差およびその影響要因を検討することを目的としている。 全身寒冷曝露に対する熱産生反応の個体間変動(個人差)を評価するために、本年度は成人男性約30名を対象に全身寒冷曝露実験、身体計測を実施した。また、個体間変動も併せて評価するために夏期および冬期に同様の全身寒冷曝露実験を実施した。 寒冷曝露実験は、軽装で28℃に制御された人工気候室において60分間の安静を保った後、70分間かけて5℃まで低下し、その後20分間5℃を維持した。気温の低下開始10分前から生理指標の測定を行った。測定項目は、前年度と同様であった。寒冷時の熱産生量は、呼気ガス分析より得られた酸素摂取量および二酸化炭素排出量の値から定量化し、前年度までに確立した手法を用いて非ふるえ熱産生およびふるえ熱産生に分割して検討した。その結果、ふるえ開始前に産熱亢進が生じるタイプ、ふるえ開始と同時に産熱亢進が生じるタイプが確認された。 ふるえ開始前に産熱亢進が生じるタイプの被験者には、褐色脂肪が存在すると考えられている部位の皮下組織温の上昇(または低下の抑制)が見られた者と見られない者が確認された。以上のことから、寒冷誘発産熱亢進反応を少なくとも3つのタイプに分類することができた。骨研究によって確立した評価手法は、産熱反応における生理的多型性を検討するうえで非常に有用なものであると示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者が平成27年4月に北海道大学から九州大学に移動した事に伴い、実験機材の調達や実験場所の確保に時間を要したため、実験開始がやや遅れ気味となった。最終的に当初計画よりもデータ解析や学会での発表や論文投稿がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画よりもデータ解析、学会発表、論文投稿がやや遅れたため、補助事業期間の延長を申請し、承認されている。今後はデータ解析を進め、平成29年度に学会発表および論文投稿を行う予定である。
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Causes of Carryover |
研究代表者が本研究課題の期間中に、北海道大学から九州大学に異動した事に伴い、実験機材の調達や実験場所の確保、実験補助員の確保に時間を要したため、当初計画よりもやや遅れた状況となり、補助事業期間の延長を申請し承認された。次年度にデータ解析や学会での発表、論文投稿を行うための費用が必要であるため次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
データ解析に係る物品の購入および研究補助員への謝金、学会参加費および参加旅費、英文校正費、論文投稿料として使用する予定である。
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